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62のWTO加盟国、ワクチンの知財に関する新提案を公開

(世界)

国際経済課

2021年05月27日

新型コロナウイルスのワクチン特許保護をめぐり、62のWTO加盟国が5月25日付で新たな提案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公開した。WTO加盟国は2020年10月以降、ワクチン増産に向けて、特許を含む知的財産の保護義務を一定期間免除する提案について議論を重ねてきた(注1)。新たな提案は従来の提案をより具体化したもので、提案支持国は今後、条文ベースの議論を求めていく見通しだ。

今回の提案では、保護義務が免除される知的財産の範囲として、特許に加えて著作権(注2)、意匠権、開示されていない情報(営業秘密)を挙げている。免除対象となる製品・技術については、新型コロナの予防、抑制または対応(prevention, containment or treatment)に用いられる医療製品・技術(health products and technologies)とする。具体的には、診断や治療、ワクチン、医療機器、個人防護具、これらの生産に必要な原材料・部品や生産手段・方法に関するものを含むとする。

また、保護義務の免除期間は少なくとも3年間とする文言を新たに盛り込んだ。ただし、免除に係る決定が発効しても、WTO協定に従って、WTO一般理事会がその決定を1年おきに見直すことも確認した。

今回の提案が実現するためには、WTOの閣僚会議または一般理事会が決定として採択する必要がある。採択には原則として全てのWTO加盟国の賛成が必要とされる。

本提案をめぐって米国のバイデン政権は、新型コロナワクチンに係る知財保護の放棄を支持すると発表(2021年5月7日記事参照)。これを受けて、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は米国側と協議する用意があると発言した(2021年5月10日記事参照)。中国の習近平国家主席も5月21日に開催された世界健康サミットのスピーチ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2021年5月21日付新華網)で、新型コロナワクチンの知財保護の一時免除をあらためて支持すると発言している。他方、米国の発表を受けて、提案に反対の立場を示す欧米の製薬工業団体からは、反対する声明が相次いで発表されている(注3)。

WTOは6月8、9日にTRIPS(知的所有権の貿易関連の側面に関する)理事会を開催する予定。5月31日にも非公式の同理事会を開催する見通しだ。

(注1)原提案の詳細については、2021年3月24日付地域分析レポート「ワクチン増産に向け、WTOで知財を巡る議論が加熱(世界)」を参照。

(注2)ただし、TRIPS協定第14条〔実演家、レコード(録音物)製作者および放送機関の保護〕は義務免除の対象外とする。

(注3)米国研究製薬工業協会の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(5月5日付)、英国製薬工業協会の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(5月6日付)、欧州製薬団体連合会の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(5月6日付)など。

(山田広樹)

(世界)

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