4月の米失業率6.1%に悪化、非農業部門雇用者数は26.6万人増で伸び鈍化

(米国)

ニューヨーク発

2021年05月10日

米国労働省が5月7日に発表した4月の失業率は6.1%(添付資料図、表1参照)と市場予想(5.8%)を上回った。就業者数は前月から32万8,000人増加した一方で、失業者数が前月から10万2,000人増加したことにより、失業率は前月の6.0%から0.1ポイント悪化した。非農業部門の雇用者は26万6,000人増で、こちらは市場予想(100万人増)に大きく届かなかった。新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、経済活動の再開が始まりつつあったことから、4月は大きく回復することが予想されていたが、その予想に反する結果となった。3月の雇用者についても、91万6,000人増から77万人増に今回下方修正されている(2021年4月6日記事参照)。

失業者のうち、一時解雇を理由とする失業者数は前月(202万6,000人)より8万8,000人増加して211万4,000人、恒常的な失業者数は前月(343万2,000人)より9万7,000人増加して352万9,000人となった。

労働参加率(注)は前月から0.2ポイント増加して61.7%だった。長引く雇用難で職探しをやめて、労働市場から退出する人が増えていることが最近指摘されているが、4月の労働力人口は前月から43万人増加した。

平均時給は30.17ドル(3月:29.96ドル)と、前月比0.7%増(3月:0.1%減)、前年同月比0.3%増(3月:4.2%増)となり(添付資料表1参照)、3月と比べると、前月比では伸びが増加したが、前年同月比では伸びが鈍化した。

4月の非農業部門の雇用者数の前月差は、26万6,000人増と前月(77万人増)より伸びが鈍化した。3月から4月にかけての雇用増減の内訳をみると、民間部門が21万8,000人増で、そのうち財部門が1万6,000人減となり、特に製造業で1万8,000人減となっている。サービス部門は23万4,000人増で、娯楽・接客業のみが増加(33万1,000人増)したが、そのほかは小売業1万5,000人減、運輸倉庫業7万4,000人減、対事業所サービス7万9,000人減と軒並みマイナスを記録した。政府部門については、4万8,000人増と2カ月連続の増加になった(添付資料表2参照)。

ロヨラメリーマウント大学の金融経済学教授であるソン・ウォンソン氏は「連邦政府からの寛大な給付金のせいで雇用の増加が緩やかになっている」と述べ、失業手当や給付金が求職の必要性を下げている可能性に言及した。一方で、ジャネット・イエレン財務長官は「職務復帰の準備ができていない人がいるのは明らかだ」「失業手当の拡充が要因だとは思わない」と述べている(ロイター5月6日)。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(宮野慶太)

(米国)

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