3月の米失業率6.0%に改善、非農業部門雇用者数は91万6,000人の大幅増

(米国)

ニューヨーク発

2021年04月06日

米国労働省が4月2日に発表した3月の失業率は6.0%(添付資料図、表1参照)と、市場予想(6.0%)と同値だった。失業者数が前月から26万2,000人減少したことに加え、就業者数が前月から60万9,000人増加したことにより、失業率は前月の6.2%から0.2ポイント改善した。非農業部門の雇用者は91万6,000人増で、市場予想(66万人増)を大きく上回り、3カ月連続の増加だった。新型コロナウイルスのワクチン接種普及などによる経済活動の継続的な再開が反映された大幅な改善となった。

失業者のうち、一時解雇を理由とする失業者数は前月(222万9,000人)より20万3,000人減少して202万6,000人、恒常的な失業者数は前月(349万7,000人)より6万5,000人減少して343万2,000人となった。

労働参加率(注)は前月から0.1ポイント増加して61.5%だった。長引く雇用難で職探しをやめて労働市場から退出する人が増えていることが最近指摘されているが、3月の労働力人口は前月から34万7,000人増加した。

平均時給は29.96ドル(2月:30ドル)と前月比0.1%減(2月:0.3%増)、前年同月比4.2%増(2月:5.2%増)となり(添付資料表1参照)、2月に比べると前月比では減少、前年同月比では伸びが鈍化した。

3月の非農業部門の雇用者数の前月差は91万6,000人増と大きな伸びを見せた。2月から3月にかけての雇用増減の内訳をみると、民間部門が78万人増、政府部門が13万6,000人増と、両部門ともに高い伸びを示した。政府部門については、2月は9万人減だったが、3月11日に成立した経済対策の執行(2021年3月16日記事参照)の影響もあってか、2カ月ぶりの増加となった。民間部門では、財部門が18万3,000人増となり、特に建設業で11万人増と同部門の伸びを牽引した。サービス部門は59万7,000人増で、特に娯楽・接客業が28万人増と、2カ月連続の増加となったほか、教育・医療サービス業で10万1,000人増、対事業所サービスで6万6,000人増と高い伸びを見せた。一方、これら業種と連動する動きの多い小売業は2万3,000人増にとどまった(添付資料表2参照)。

ブルームバーグ・エコノミクスのカール・リカドンナ氏らは「大幅な雇用増で失業率が低下しており、今後数カ月はこの流れが継続するだろう。しかし、失業率の低下自体はさほど重要なことではなく、労働参加率が顕著に回復することが重要だ」と述べている(ブルームバーグ4月5日)。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(宮野慶太)

(米国)

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