飲食店の店内営業など条件付き再開、インド型変異ウイルス拡大を警戒

(英国)

ロンドン発

2021年05月18日

英国イングランドで5月17日、新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウンの緩和が第3段階に移行した。飲食店の屋内営業や、ホテルなど宿泊施設やカジノなど屋外娯楽施設、美術館などが、1グループ最大6人または上限なし2世帯の利用を条件に再開。国際会議や見本市、スポーツ観戦や劇場などは、屋内では1,000人、屋外では4,000人を上限に、それぞれ定員の50%まで収容して開催することを認めた(注)。屋外での面会の人数上限は6人から30人に引き上げ、屋内での面会も最大6人または上限なし2世帯で可能になった。余暇を含む不要不急の海外渡航も解禁した(2021年5月12日記事参照)。

各自治政府も段階的な緩和を進めている。スコットランド自治政府は同じ17日から、大部分の地域で警戒水準をレベル2に1段階引き下げ、屋内外での面会規制を緩和。4月26日から午後8時までの時短・酒類提供なしで認めていた飲食店の屋内営業も、午後10時30分までの営業と酒類提供を許可した。ウェールズ自治政府も同日から面会規制を緩和し、飲食店の屋内営業などを認めた。海外渡航については、両自治政府とも慎重な対応を推奨しつつ、帰国時の自主隔離を免除する国の指定などはイングランドに合わせた。北アイルランド自治政府は24日から、面会規制の緩和や飲食店の屋内営業再開などの緩和を行う予定だ。

政府は予定どおり緩和を進める一方で、イングランド北西部など一部地域でインド型変異ウイルスの感染が急増していることに警戒を強めている。政府の予防接種・免疫合同委員会(JCVI)は5月14日、(1)接種計画フェーズ1対象者(50歳以上の全成人と基礎疾患のある16歳以上の住民)の住民への接種実施、(2)特に同変異ウイルス感染が拡大している地域での2回目接種を1回目接種の12週間後から8週間後への前倒し、(3)ワクチン接種計画全体の速やかな展開のための接種会場フル稼働などを政府に勧告。

政府はこうした状況を受け、17日からのイングランドでの規制緩和に当たっても変異ウイルスへの注意を喚起し、面会は可能な限り屋外で行い、社会的距離の確保や感染検査などを呼びかけている。

(注)席数1万6,000席以上の施設でのイベントは、席数の25%または1万席のいずれか低い方を上限に受け入れ可能に。

(宮崎拓)

(英国)

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