米アメックス、無人店舗をニューヨークに出店、非接触型需要に対応

(米国)

ニューヨーク発

2021年05月31日

新型コロナウイルス感染拡大を契機に、米国では新たな消費スタイルとして非接触型サービスへの需要が高まっており、非接触型技術を取り入れた店舗運営が広がりをみせている。

米国アメリカン・エキスプレスは5月22日、レストランや売店を運営するレヴィー(Levy)と提携し、レジなし技術を導入した同社初の無人店舗「アメリカン・エキスプレスショップ」をニューヨーク市ブルックリン地区の屋内競技場「バークレーズ・センター」に新規出店した。アメックスカード所有者専用の無人店舗となる。

カード所有者は、店舗入り口でアメックスの非接触型決済カードやカード情報を登録した非接触型携帯端末をゲートでかざすか、カードを挿入することで入店できる。店内での行動は設置されたカメラなどによって追跡され、商品を手に取ると棚に設置された重量センサーが反応し、商品を手に取ったまま退店すると即時に精算される。

空港や駅のターミナルでコンビニエンスストアを展開するハドソンは、アマゾンが提供するレジなし店舗技術(2019年5月16日記事参照)使った無人店舗「ハドソン・ノンストップ」を、イリノイ州のシカゴ・ミッドウェー国際空港に今夏にオープンすることを発表した。同社の無人店舗は、2021年3月にテキサス州のダラス・ラブフィールド空港に出店した店舗に次ぎ、2店舗目となる。

新型コロナウイルスの感染拡大により、レジなし店舗への注目はより一層高まっており、その関連技術を持つスタートアップ企業も成長を遂げている。カリフォルニア州サンフランシスコを拠点にレジなしチェックアウトシステムを提供するスタンダードは、2021年2月に1億5,000万ドルの資金を調達し、非接触型決済技術を扱う企業としては初めてのユニコーン企業となった。

アマゾンは、2020年に発表した独自の生体認証決済サービス「アマゾン・ワン」を活用した店舗を拡大している。アマゾン・ワン利用者は、クレジットカードと電話番号、手のひらの生体情報を登録し、商品購入の際は手のひらをかざすだけで支払いが完了する。これまで同サービスは、アマゾンの本社があるワシントン州内の店舗にとどまっていたが、2021年5月にニューヨーク市内の「アマゾン・ゴー」にも導入した。今後は、スポーツイベントやオフィスの入場管理でのアマゾン・ワンの導入や、他社との連携による活用機会の拡大を検討しているという(「ニューヨーク・ビジネス・ジャーナル」2021年5月10日)。

(樫葉さくら)

(米国)

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