スペインが日本からの入国制限解除、安全国以外もワクチン接種済み観光客受け入れへ

(スペイン、日本)

マドリード発

2021年05月27日

スペイン政府はEUとEFTA(アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)以外からの不要不急の入国制限解除国リストを改定し、5月24日午前0時に日本からの入国制限を約4カ月ぶりに解除外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注)。観光や出張目的の入国が再び解禁された。入国時のPCR検査の陰性証明書の提出は不要となる。

今回は、日本とともに、英国とイスラエルも解除対象国に追加した。イスラエルは5月6日にEU理事会が解除勧告済み(2021年5月7日記事参照)だったが、日本と英国は「既に一部のEU加盟国で解除対象となっている」として、EU側の正式な勧告を待たずに決定した。

ただし、現時点では日本との直行便が運休中のため、経由地で引き続き日本からの入国・乗り継ぎに際して陰性証明書を求められる場合がある。また、日本側の水際対策として、スペインからの帰国時には陰性証明書と14日間の自主隔離を義務付けており、制限解除によって日本からの往来がすぐに回復する可能性は低い。

英国政府も依然としてスペインを安全国に認定しておらず、渡航前後の検査や帰国後の10日間の自主隔離を義務付けている。

6月7日からワクチン接種済み観光客受け入れ

この急な決定の背景には、1年以上に及ぶ渡航制限で観光低迷にあえぐ観光業界への配慮がある。現地メディアによると、観光業界は、競合する南欧・地中海諸国が次々と国際観光客の受け入れ日程・方針を決定していく中で、スペインも早く「開国宣言」を行うよう政府に要請していた。

ペドロ・サンチェス首相は21日、マドリードで開催された大型国際観光展FITUR(5月19~23日)で、「6月7日以降は、EU域内外を問わずに渡航制限対象国からも、欧州医薬品庁(EMA)または世界保健機関(WHO)の認可ワクチンの接種完了者の入国を受け入れる」方針も明らかにしており、これから夏のバカンス期に向けたインバウンド集客が本格化する。

FITURを開催したマドリード国際展示場(IFEMA)によると、今回は新型コロナウイルス感染拡大後、欧州で初の国際展示会の来場型開催(一部オンライン)となった。参加企業・団体数は55カ国・5,000社、来場者数は6万2,000人。前回(2020年1月)の165カ国・1万1,040社、25万5,000人と比較して大幅に規模が縮小した。

(注)EU・EFTA以外の不要不急の入国制限解除対象国は現在、日本、オーストラリア、中国(マカオと香港を含む)、韓国、イスラエル、ニュージーランド、英国、ルワンダ、シンガポール、タイの計10カ国。同リストは14日ごとに見直しされ、当面6月6日まで有効。

(伊藤裕規子)

(スペイン、日本)

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