英政府が債務猶予スキームを開始、生活困窮者に救いの一手

(英国)

ロンドン発

2021年05月10日

英国財務省は5月4日、財政的困窮により債務返済に問題を抱える個人向けに「債務猶予スキーム」を開始した。新型コロナウイルス感染拡大などにより、債務者の経済的負担が拡大している現状に対し、救済の一手としたい考えだ。

同スキームは「ブリージング・スペース(breathing space)」と称され、60日間にわたり、債権者からの請求や、利息・延滞金、強制執行を停止することで、返済が困難な債務者を法的に保護する制度だ。また、債務問題とメンタルヘルスの相関性を考慮し、精神疾患を抱える債務者については、同治療期間に加え、さらに30日間の保護期間を付与する。対象は、イングランドおよびウェールズの住民。政府は債務返済の問題を抱え、今回のスキームの恩恵を受ける者が同地域に約70万人いると推計している。ただし、同制度により、多くの債務問題が解決に向かうとしながらも、元金の返済は凍結の対象ではなく、継続して返済を履行しなければならないとの注意も促した。

住宅ローン融資は過去最高額を記録

政府のこれまでの家計支援策の効果もみられている。イングランド銀行(中央銀行)が5月4日に発表した調査結果によると、2021年3月の住宅ローン借入額は118億ポンド(約1兆7,818億円、1ポンド=約151円)と、1993年4月に同調査を開始して以降、過去最高額を記録した。これは景気刺激策の一環として実施されている、住宅購入時に支払う印紙税の控除額の引き上げ措置が2021年3月末までとされていたこと(2020年7月14日記事参照)が主因とされる(同措置は6月末まで延長)。他方で、同調査では家計の預金残高が引き続き増加していることが示された。これは、新型コロナ禍におけるロックダウン措置により、支出機会が減少したことによるとみられる。

またイングランド銀行は、5月6日に発表した金融政策レポートの中で、2021年通年のGDP成長率を7.25%と予測、2月に示した5%から大幅な上方修正になった。これは、国内で順調に進む新型コロナワクチン接種などにより感染状況が改善しており、今後さまざまな制限緩和が実施されるとの見通しに基づいている。

(尾崎翔太)

(英国)

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