ifo経済研究所、乗用車の電動化が国内雇用に与える影響を調査

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年05月31日

ドイツのifo経済研究所は5月6日、「電動乗用車の生産増加によるドイツ国内雇用への影響」と題する調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本調査でifo経済研究所は、内燃機関車関連の国内生産高や被雇用者数を把握するとともに、電動化による構造転換で影響を受ける被雇用者数などを調査した。

同調査結果によると、2019年に国内で内燃機関に携わる従事者は約61万3,000人だった。約44万7,000人がディーゼルエンジンや排気ガス浄化装置などの内燃機関技術に直接関係する製造、約16万6,000人が間接的に内燃機関技術に関わる製造に携わっていた。2019年の内燃機関関連の生産高は1,490億ユーロ以上に上った。なお、2019年の電気自動車関連の生産高は31億ユーロ、プラグインハイブリッド車関連の生産高は43億ユーロだった。次に、2015年から2019年までの内燃機関関連の被雇用者数および生産高の推移をみたところ、被雇用者数は約2%減の8,000人減にとどまったのに対し、生産高は約13%減の220億ユーロ超もの落ち込みを示したという。

将来予測として、同調査は2025年、2030年までに、構造転換で内燃機関関連の雇用にどの程度の影響が出るかを試算した。それによると、環境規制強化などで内燃機関車の生産が大幅に落ち込んだ場合、2025年までに少なくとも17万8,000人の雇用が影響を受けるとした。そのうち、13万7,000人が直接自動車産業に関わる雇用となる。2030年までには、少なくとも21万5,000人の雇用、うち直接自動車産業に関わる16万5,000人の雇用に影響が出るとした。

一方、関連産業の老齢退職予定者は2025年までで約7万5,000人、2030年までに約14万7,000人にとどまるとし、自然減だけでは構造転換による雇用減を吸収できないとした。この結果から、同調査では、構造転換を乗り越え、雇用への影響を抑えるためには、職業再教育や配置転換のための研修などの対応が不可避と結論付けている。同研究所のクレメンス・フュスト所長は今回の調査結果について、「特に中小企業が中心の自動車部品産業にとって、構造転換は大きな課題となる。一部生産が残る内燃機関と電気自動車(EV)生産で、産業の構造転換を止めることなく、質の高い雇用を確保することが重要」としている。

自動車産業の構造転換による雇用への影響については、フラウンホーファー労働経済・組織研究所が2020年12月、電動化とデジタル化がフォルクスワーゲン(VW)の2030年までの国内雇用に与える影響に関する調査を発表(2020年12月28日記事参照)、一般的に懸念されているほど雇用減につながらないと結論付けている。また、BMWでは2009年以降、5万人以上の従業員がEVに関する研修を受講するなど(2020年12月1日記事参照)、職業再教育や配置転換のための研修を進める企業もみられる。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

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