第1四半期のGDP成長率は前年同期比3.8%、建設事業の増加が押し上げ要因

(ペルー)

米州課

2021年05月31日

ペルー国家統計情報庁(INEI)は5月21日、2021年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前年同期比3.8%だったと発表した。2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で第1~4四半期全てでマイナス成長を記録し、年間のGDP成長率もマイナス11.1%だったところ、2019年第4四半期以来のプラス成長となった。

需要項目別にみると、今回のプラス成長は内需の回復によるところが大きいことが分かる(添付資料表1参照)。中でも、道路や医療関連施設、住居などの建設が増加し、総固定資本形成は30.4%増と大幅なプラスになった。GDPの6割超を占める民間消費も2.1%増となった。一方、輸出は主要産品の亜鉛(15.5%減)や銅(12.9%減)、金(9.5%減)などの減少が響き、5.5%減になった。

経済活動別にみると、建設事業が増加したことで、建設業が41.9%増と大幅なプラス成長を記録した(添付資料表2参照)。また製造業も、木材関連製造業や金属製品製造業などを中心として伸び、16.1%増になった。一方で、主要産業の鉱業は原油や天然ガスの減産が影響し、全体としては0.1%の微減だったが、スズや鉄鉱石、モリブデンなどの鉱石類の生産は増加した。

2021年第1四半期の実質GDP(金額)は、既に新型コロナウイルス感染拡大の影響が出始めていた前年同期との比較ではプラスになったものの、パンデミック以前の2019年第4四半期と比較すると依然マイナスだ。経済財政省は2021年4月末に発表した経済見通しの中で、2021年のGDP成長率の予測を10.0%としているが、いまだペルーでは地域や業種によっては制限が課されている。今後、ワクチン接種計画を順調に進めながら、経済活動を平常化させることがカギとなってくるだろう。

(佐藤輝美)

(ペルー)

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