ISO、多様性ある組織のための国際規格を発行
(世界、スイス)
ジュネーブ発
2021年05月10日
国際標準化機構(ISO)は5月4日、組織が多様な人材を活用し、ビジネスを強化するための新たな国際規格を発行したことを発表した。
今回発行されたのは「ISO 30415:2021:人的資源管理–多様性と包摂(Human resource management— Diversity and inclusion)」で、多様な人材が活躍できる職場を目指す組織のための国際規格として、次の事項に関する手引きや手法を提示している。
a)多様性と包摂(D&I)への継続的な取り組みを示すための前提条件
b)D&Iに対する説明義務と責任
c)多様性を評価し、包摂的な職場の発展を促進するためのアプローチ
d)D&Iの目的、機会とリスク、行動、対応策、結果、その影響の特定
同規格の巻末には自己評価のチェックリスト(付属書A)が付いており、各組織はこれを使ってISO 30415が推奨するD&Iへの対応をどれほど実施できているか確認することができる。
ISO 30415の序章では、D&Iと組織の関係を以下のように記している。「相互のつながりが深まる現在の世界では、D&Iを認識して活用することは、イノベーションを促し、レジリエンス、持続可能性、評価を高めようとする組織にとって重要となり得る。組織はそれぞれ異なり、意思決定者は組織の状況に基づいて、D&Iを組織の戦略やビジネスプロセスに組み込むよう、最も適切なアプローチを決定する必要がある。D&Iの目的を達成するために、組織は勇気を奮い、機微な問題に積極的に取り組み、包摂的でない行動や文化的規範、不公正で差別的な組織の慣行に挑戦する必要がある」
組織における多様性の重要性への関心は日本でも高まっている。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2019年5月に発表した調査レポートでは、同年に入社した新入社員意識調査アンケートの結果として、新入社員は職場に「多様な価値観の許容を何よりも求めている」としている。また、経済産業省もダイバーシティ(多様性)経営の推進を後押ししている。
ISO 30415は日本規格協会のウェブサイト、またはISOのウェブサイトから購入できる。
(小谷由紀子)
(世界、スイス)
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