第1四半期の輸出入、輸出は新型コロナ以前の水準に回復

(スイス)

ジュネーブ発

2021年05月06日

スイス連邦関税局は4月22日、2021年第1四半期(1~3月)の貿易統計を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。輸出は前期比4.8%増の581億1,000万スイス・フラン(約6兆9,732億円、CHF、1CHF=約120円)、輸入は1.7%増の468億3,000万CHFで、貿易黒字は112億8,000万CHFだった(添付資料表1参照)。輸出は、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年第4四半期の576億7,500万CHFを上回り、四半期ベースでも過去2番目に高い金額となった。一方で、輸入は、2019年第4四半期に37億6,300万CHF及ばなかった。

輸出を品目別にみると、最大輸出品目の化学品・医薬関連品(前期比5.1%増)の増加が輸出拡大に大きく貢献した。機械および電気・電子機器(5.8%増)、金属(9.3%増)、時計(4.0%増)も好調だった。時計は、新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限や店舗閉鎖の影響を大きく受けて2020年の輸出額は2009年の金融危機以来の落ち込みを記録したが、最大の輸出先国である中国の経済回復などが貢献し、徐々に上向いている。スイス時計協会によると、2021年3月は、主要輸出先30カ国のうち日本(前年同月比11.1%減)を除いた全ての国で輸出が増加し、特に中国は前年同月比で約2倍、2019年の同月比でも約2.2倍となった。

輸出を国・地域別にみると、化学品・医薬関連品の輸出増により米国向け(前期比21.6%増)が大きく伸びた(添付資料表2参照)。欧州向け(4.6%増)もコロナ前の水準まで回復し、特にフランス(10.4%増)、スペイン(10.1%増)、ドイツ(7.5%増)が伸びた。アジア向けでは、前述の時計の輸出増などが牽引し、中国向け(9.4%増)が過去最高額を記録した。

輸入を品目別にみると、機械および電気・電子機器(前期比7.7%増)、金属(9.8%増)、宝飾品(21.4%増)が伸びた。一方、輸送用機器(13.4%減)は乗用車の輸入減により大きく減少した。最大輸入品目の化学品・医薬関連品は、医薬品が伸びたものの製剤用有効成分と免疫学的製品の縮小が上回り、1.0%減となった。

輸入を国・地域別にみると、アジア(前期比2.2%増)、欧州(1.2%増)が増加した一方で、米国(3.5%減)は減少した。アジアでは、最大の輸入相手国の中国(4.7%増)とシンガポール(36.2%増)が増加したほか、宝飾品の輸入増に牽引され、アラブ首長国連邦(2.9倍)の伸びが顕著だった。

(城倉ふみ)

(スイス)

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