米GDP、第1四半期は6.4%の成長、新型コロナ前の水準に回復
(米国)
ニューヨーク発
2021年05月06日
米国商務省が4月29日に発表した2021年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率6.4%となった(添付資料図および表参照)。市場コンセンサス予想(ダウ・ジョーンズ調べ)の6.5%とほぼ同じだった。実質GDPの水準は19兆876億ドルとなり、新型コロナウイルス感染拡大前の水準(2019年10~12月期19兆2,540億ドル)にほぼ回復した。
需要項目別にみると、前期比伸び率(年率)では個人消費が10.7%、設備投資9.9%、政府支出6.3%など、大規模な財政支出を背景にどの項目も高い伸びをみせた。住宅投資も10.8%と、金融緩和などを背景に住宅価格が高まっているにもかかわらず、依然高い伸びを示している。輸入は前年の後半からの伸びに引き続き、5.7%とプラスになった一方、輸出はマイナス1.1%と減少に転じた。
寄与度でみると、2021年第1四半期の実質成長率6.4%のうち、個人消費が7.0ポイントと大きく牽引した。特に財が4.9ポイントで、うち耐久財3.0ポイント、非耐久財2.0ポイントとなっており、経済対策による現金給付を背景にモノへの需要が鮮明になっている。設備投資は1.3ポイント、住宅投資が0.5ポイントだったが、在庫投資がマイナス2.6ポイントとなったことにより、民間投資全体としてはマイナス0.9ポイントだった。政府支出は経済対策による財政支出などで1.1ポイントとなった。純輸出(外需)は、輸出が減少に転じた一方、輸入は増加を維持していることから、マイナス0.9ポイントとなっている。
物価は、価格変動が大きいエネルギーや食料を除いた個人消費支出デフレーター(コアPCE)の上昇率が、前期比年率で2.3%と前期より1ポイント上昇している。
キャピタル・エコノミクスのチーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏は「(現金給付などにより)貯蓄率が上昇しているため、家計は依然として現金を豊富に保有している。新型コロナウイルスのワクチン接種計画が成功し、経済制限の緩和が進む中で、(パンデミックで)最も影響を受けたサービス分野への支出を、家計は今後増やしていくだろう」と述べた(「CNBC」4月29日)。
(宮野慶太)
(米国)
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