米アップル、今後5年間に米国内で4,300億ドルを投資

(米国)

ニューヨーク発

2021年05月07日

米国アップルは4月26日、今後5年間に米国内で4,300億ドルを投資すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、新たに2万人を雇用する方針を打ち出した。同社は2018年に5年間で3,500億ドルを投じる計画打ち出していたが、この3年でそのペースを上回ったとして、投資期間を2025年まで延長した上で投資額を約2割上積みする。

発表によると、今回の投資計画に含まれるのは国内サプライヤーやデータセンターへの直接投資ならびに国内での設備投資のほか、コンテンツ制作などが挙げられた。この投資計画の一環として、ノースカロライナ州中央部に位置する「リサーチ・トライアングル」地域では、10億ドルを投じて新キャンパスを建設し、機械学習や人工知能(AI)、ソフトウエアエンジニアリングなどの先端分野の研究拠点として活用する(2021年4月30日記事参照)。また、カリフォルニア州、コロラド州、マサチューセッツ州などで雇用を拡大するほか、テキサス州オースティンでは新たなキャンパスの建設が進められており、他州でも広範囲にわたって事業や雇用の拡張計画が実行されている。

また、次世代半導体の開発や第5世代移動通信システム(5G)の構築を支援する取り組みとして、全米9州(注)へ数百億ドル規模の投資を行うことも明らかにした。同日の声明で、ティム・クック最高経営責任者(CEO)は「(『新型コロナ禍』からの)回復と再建の時であるこの時期に、米国でのイノベーションと製造業への取り組みを強化し、全米50州のコミュニティーに投資を行き渡らせる」とした。また、「5Gから半導体工学、人工知能に至るまでの先端分野で雇用を創出し、次世代の革新的な新規事業に投資し、そして全ての事業において、より環境に優しく、公平な未来に向けて前進する」と述べた。

アップルはまた、同社が米国で「最大の納税者」で、過去5年間にわたって450億ドルを超える国内法人税を支払っていると指摘した。新型コロナウイルスによるパンデミックからの回復に向けて、政権内で25年以上ぶりに企業への増税が検討される中で、同社は米国経済への貢献を強調した。

(注)カリフォルニア、コロラド、メーン、マサチューセッツ、ニューヨーク、オレゴン、テキサス、バーモント、ワシントンの各州。

(樫葉さくら)

(米国)

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