米アップル、ノースカロライナ州に10億ドル投資し新社屋を建設へ

(米国)

アトランタ発

2021年04月30日

米国のアップルは4月26日、ノースカロライナ州のリサーチ・トライアングル地域(注1)に2032年までに10億ドル以上を投資し、新たなキャンパスおよびエンジニアリング拠点の建設を開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注2)。拠点の広さは少なくとも100万平方フィート(9万3,000平方メートル)で、機械学習や人工知能、ソフトウエアエンジニアリングなどの先端分野で少なくとも3,000人の雇用を創出する。新拠点設立に加え、州内の学校やコミュニティーへの支援を目的とする1億ドル規模の基金を設立するほか、州内80の郡のブロードバンドや道路、橋梁、公立学校などのインフラ整備に1億1,000万ドル以上を提供する。

ノースカロライナ州政府の発表によれば、雇用創出と投資目標の達成を条件に、同州雇用開発投資補助金(JDIG)を通じて、今後39年間で最大8億4,580万ドルがアップルに支払われる。今回立地の選定に当たって、ノースカロライナ州とオハイオ州が最終候補地として残っていたが、この補助金が、アップルのノースカロライナ州進出決定の大きな要因となった(「トライアングル・ビジネス・ジャーナル」紙電子版4月26日)。また、同州や各自治体の近年の施策がLGBTQ(性的少数者)に対する差別の反対と保護を目的としたものへと転換していることも1つの要因としている(「ザ・ニュース・アンド・オブザーバー」紙電子版4月26日)。

ノースカロライナ州ロイ・クーパー知事は、同州議会議員とともに、「リサーチ・トライアングル地域に新しいキャンパスを建設するアップルの決定は、州の魅力的なビジネス環境、世界水準の大学、優秀なテック人材、そして多くの人々がノースカロライナ州をわが家と呼びたくなるような友好的で多様性のあるコミュニティーの重要性を示している」との共同声明を発表した。

ノースカロライナ州出身でもあるアップルの最高執行責任者(COO)のジェフ・ウィリアムズ氏は「アップルが私自身の育ったコミュニティーで長期にわたる雇用機会を拡大・創出することに感動している。われわれは今回の新規投資が州全体の教育や重要インフラ事業の支援も行うことに誇りを持っている。アップルは20年近くにわたってノースカロライナ州の一部であり、今後の成長と輝かしい未来を楽しみにしている」と語った。

(注1)リサーチ・トライアングル地域詳細の詳細は、セレクト・USAバーチャルツアー(医療クラスタートライアングル・リージョン)を参照。

(注2)アップルは4月26日、今後5年にわたって全米で4,300億ドル以上の投資と2万人の雇用創出を計画していることを発表しており、ノースカロライナ州への投資はこの計画の一環だ。

 

(石田励示)

(米国)

ビジネス短信 6488c080519fd04a