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導入進むカーボンプライシング、世界の排出量の2割をカバー

(世界)

海外調査企画課

2021年05月31日

世界銀行は5月25日、世界のカーボンプライシングの実施状況をとりまとめた報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同報告書によると、2021年4月現在、温室効果ガス(GHG)の排出を抑制するため、炭素税または排出量取引制度(ETS)によるカーボンプライシングを導入している国・地域は合計で64に上る。内訳は、炭素税が35、排出量取引制度が29とほぼ拮抗(きっこう)している(注)。2011年時点での導入数は21だったが、過去10年で3倍以上に増加した。

現在実施中のこれらのカーボンプライスにより、世界のGHGの21.5%がカバーされているという。2021年2月からは中国で、世界最大の排出量取引市場となる、全国レベルのETS(2,225社の発電事業者を対象)の運用が開始されたことで、カバー率は前年の15.1%から大きく上昇した。また、2020年のカーボンプライシングによる収入の合計は、前年比17%増の530億ドルに上ったという。

炭素税およびETSの取引市場で明らかになる炭素価格は、各国・地域ごとに相当な格差がある。報告書によると、炭素税で最も高いのはスウェーデンで二酸化炭素(CO2)排出1トン当たり137ドル、これにスイスとリヒテンシュタイン101ドル、フィンランド73ドル(輸送用燃料)などが続く。ETSでは、EU-ETSの50ドルが最も高く、スイスETS46ドルなどどなっている。一方で、ポーランドやウクライナの炭素税は1ドルを下回り、20ドル以下が34と過半を占める。

なお、パリ協定の目標である、地球の平均気温の上昇を2度より十分低く抑制するために求められる炭素価格の水準は、専門家グループにより、2020年時点で少なくとも40~80ドルと試算されている。報告書では、この基準でカバーされているGHGは5%以下にとどまっていると指摘している。

(注)実施主体はEUのような地域レベルのものから、国、さらに州や県などの自治体レベルのものも含む。また、炭素税とETSは二者択一の制度ではなく、例えば多くのEU加盟国では、EU-ETSを実施しつつ、同時に炭素税も導入している。

(若松勇)

(世界)

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