民間企業による「相互扶助ワクチン接種プログラム」開始

(インドネシア)

ジャカルタ発

2021年05月21日

インドネシアで、民間主導の自主的な新型コロナウイルスワクチン接種プログラム「相互扶助ワクチン接種プログラム」が5月18日に開始された。インドネシア商工会議所(KADIN)が実施を政府に提案し、政府も実施承認の省令を公布するなど、準備が進んでいた(2021年3月31日記事参照)。当初は4月中の開始を予定していたが、インドネシアへの使用ワクチン到着の遅れなどがあり、延期になっていた(「コンパス」紙4月26日)。

最初に接種が開始されたのは、西ジャワ州チカランにあるジャバベカ工業団地で、ジョコ・ウィドド大統領が視察した。シナルマスグループの傘下企業など合計19社が18日に接種を始めたとみられる(「コンタン」紙5月18日)。

このプログラムでは、中国シノファーム製のワクチンが使用される。保健省は5月11日、プログラム開始に先立って保健大臣決定PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布し、シノファーム製のワクチン接種の価格を最大43万9,570ルピア(約3,341円、1ルピア=約0.0076円、注)と定めた。接種費用はプログラムに参加する各企業が負担する。また、シノファーム製ワクチンのほか、中国カンシノ・バイオロジクス(康希諾生物)製のワクチンが使用される可能性もあると報じている(「コンパス」紙5月17日)。

KADINのロサン・ロースラニ会頭によると、既に2万2,000社を超える企業、1,000万人を超える従業員とその家族がプログラムに登録済みだ(「リプタン6」5月18日)。KADINのホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上では、5月21日まで追加募集が行われている。政府は、このプログラムと政府が公費負担で実施しているワクチン接種プログラムを通じ、2022年3月までに人口の3分の2超に当たる約1億8,155万人への接種を目標としている。5月19日時点のワクチン接種完了者(2回接種)は約936万人で、政府目標の5.16%にとどまっている(保健省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(注)ワクチン1回分の価格(32万1,660ルピア)と接種サービス料(最大11万7,910ルピア)の合計。

(尾崎航)

(インドネシア)

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