第1四半期のGDP成長率は前年同期比マイナス1.0%

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2021年05月21日

ロシア連邦国家統計局は5月17日、2021年第1四半期の実質GDP成長率をマイナス1.0%(前年同期比、速報値)と発表した。前期(2020年第4四半期)に比べると、多くの指標の減少幅が縮小し、幾つかの指標はプラスに転じている。

産業別にみると、鉱業(前年同期比7.3%減)、小売り(1.6%減)の落ち込みが主な押し下げ要因となったものの前期と比べて落ち込み幅は縮小しており、農林水産業(0.4%増)、輸送(0.4%増)はプラスに転じた。製造業(0.9%増)は、前期に比べ伸び率が低下したが、2期連続でプラスを維持した(添付資料表参照)。

経済発展省は、鉱業についてOPEC+の協調減産措置が段階的に緩和されたとし、小売りに関しては消費者需要の緩やかな回復が減少幅の縮小につながったと説明。製造業は3月に船舶、航空機、電気機器などの機械納入案件の契約が完了した点をプラス維持の要因として挙げた。

需要面では、実質可処分所得が前年同期比3.6%減、実質賃金も2.8%減となり、「新型コロナ禍」発生以降、マイナスが続いている。ロシアの投資銀行VTBキャピタルのアレクサンドル・イサコフ首席エコノミストは、2020年3月末に同年4月分の年金が前倒しで支払われ、2020年第1四半期の実質可処分所得が過大評価されている点を、マイナスとなった理由として説明している(「RBK」紙4月29日)。

2021年の実質GDP成長率について、世界銀行は2.6%、ロシア経済発展省は2.9%、IMFは3.8%、ロシア中央銀行は3.0~4.0%といずれもプラスの予測。経済発展省は、4月1日に行われたOPEC+の原油増産に関する合意や国内消費の回復などが成長のドライバーになると分析している。

2022年以降の経済成長に関して、経済発展省は4月24日、2022年が3.2%、2023年および2024年はそれぞれ3.0%なるとの見通しを発表している。

(宮下恵輔)

(ロシア)

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