マクロン大統領、6月末までの段階的規制緩和のスケジュールを発表

(フランス)

パリ発

2021年05月06日

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は4月29日、複数の地方紙とのインタビューの中で、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の規制緩和について具体的なスケジュールを明らかにした。ジャン・カステックス首相が4月22日の記者会見で方針を示していた(2021年4月27日記事参照)もので、6月末までに段階的に緩和を進める。

第1段階(5月3日~)

  • 地域圏をまたぐ移動制限、および自宅から10キロを超える移動制限を解除する。
  • 午後7時から翌日午前6時までの夜間外出禁止、および原則100%のテレワーク実施は維持する。
  • 特例外出証明書の携行は、夜間の移動を除き撤廃する。
  • 中学・高校は出席率50%を上限に登校を再開する。

第2段階(5月19日~)

  • 夜間外出禁止の開始時間を午後7時から午後9時に繰り下げる。
  • レストラン、カフェのテラス席を、1テーブル6人を上限として再開する。
  • 生活必需品以外を扱う小売店の営業、美術館、博物館、映画、劇場、スポーツ施設を、衛生プロトコルと人数制限の順守のもとに再開する。施設の着席型観客の上限は、屋内800人、屋外1,000人とする。
  • 集会の禁止対象を6人以上から10人以上に緩和する。
  • 屋内、屋外でのスポーツ活動は衛生プロトコル順守の上、再開可能とする。

第3段階(6月9日~)

  • 「原則テレワーク」の措置を緩和、夜間外出禁止の開始時間を午後11時に繰り下げる。
  • カフェ、レストランの店内での飲食を、衛生プロトコル順守の上、1テーブル6人を上限として再開する。
  • 導入予定のPCR検査結果やワクチン接種を証明する「衛生パス」の提示を条件に、5,000人を上限として、見本市、展示会、文化・スポーツ施設の受け入れを再開する。
  • 「衛生パス」を所持する外国人観光客の受け入れを開始する。
  • スポーツジムの営業を再開する。

最終段階(6月30日~)

  • 夜間外出禁止、公衆を受け入れる全ての施設における人数制限を解除。
  • 1,000人以上のイベントには「衛生パス」を提示して参加が可能。
  • ディスコの営業禁止は継続する。

段階的緩和は、国内で一律に実施される措置だが、(1)10万人当たりの新規陽性者が400件を超えた場合、(2)陽性者が急増した場合、(3)蘇生病床が飽和状態となる危険がある場合など、衛生状況の悪化がみられる地域、県については、規制緩和に「緊急ブレーキをかける」可能性もある。

マクロン大統領はまた、今後のワクチン接種の日程についても発表した。18歳以上の脆弱(ぜいじゃく)者については5月1日から、50歳以上は5月15日から、18歳以上は6月15日から、それぞれ接種が受けられる。フランスでは4月30日までに、要介護高齢者滞在施設(EHPAD)入居者の99%、70歳以上の69%、60歳以上の60%、成人(18歳以上)の30%が1回目のワクチン接種を終えている。

(奥山直子)

(フランス)

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