イランのザリフ外相が欧州を訪問、JCPOA再建や経済関係の回復を協議

(イラン、スペイン、イタリア)

中東アフリカ課

2021年05月25日

イランのモハマド・ジャバッド・ザリフ外相は5月13日から欧州4カ国を訪問し、政府要人やビジネス関係者らと会談した。イラン外務省によると、「包括的共同行動計画(JCPOA)」再建をめぐる協議や、イスラエル・パレスチナ問題などに加え、JCPOA再建後をにらんだ経済関係の回復について話が交わされた。

最初に訪問したスペインでは、5月13日にアランチャ・ゴンザレス・ラヤ外務・EU・国際協力相と会談後、イラン・スペイン共同経済協力委員会の共同議長も務めるレジェス・マロト産業・商業・観光相とも会談を行い、経済および貿易の相互協力について協議した。ザリフ外相は「現存する障壁を取り除き」、さまざまな経済分野における協力関係を発展させたいと述べ、特に中小企業の交流や、観光産業やインフラにおける協力の重要性を指摘した。ラヤ外相も「両国の関係は重要なものだ」とし、2国間協力の枠組みの中で経済関係を強化したいと述べた(5月14日イラン外務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます5月15日イラン外務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

次に訪れたイタリアでは、5月17日にルイジ・ディ・マイオ外相と会談したほか、18日にはイラン・イタリア合同商工会議所の会頭らと会談を行った(5月17日イラン外務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます5月18日イラン外務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。マイオ外相との会談後、ザリフ外相は「2国間関係について良い協議ができた」とし、「現在ウィーンで行われている(JCPOA再建の)交渉後に向けて、長年の経済的パートナーであるイタリアがイランの経済分野に復帰できるよう、設備などを再建する必要がある」と述べたと報じられた〔5月17日付イスラーム共和国通信(IRNA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。

ザリフ外相はそのほか、バチカンやアイルランドを訪問した。オーストリアも訪問する予定だったが、オーストリア政府がイスラエルとガザ地区の軍事対立(2021年5月17日記事参照)を受け、イスラエルに連帯を示すため政府機関の建物にイスラエルの国旗を掲げる決定をした後に、訪問をキャンセルしたと報じられた。

そのオーストリア・ウィーンでは5月19日、JCPOAの再建に向けて4月6日に始まった合同委員会の第4回目の会合が行われた。イラン国内では、現地で交渉に当たっているアッバース・アラグチ外務次官の「いくつかの重要な課題は依然として協議されているが、多くの進展があった」というコメントなどが伝えられた(2021年5月21日記事参照)。

(稲山円)

(イラン、スペイン、イタリア)

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