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米USTR、GM工場での労働権侵害の疑いでメキシコ政府に確認要請

(米国、メキシコ)

ニューヨーク発

2021年05月13日

米国通商代表部(USTR)は5月12日、メキシコのグアナファト州シラオ市にあるゼネラルモーターズ(GM)の工場で労働権侵害の疑いがあったとして、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が定める「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRLM)」に基づき、メキシコ政府に事実確認を要請したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

RRLMの利用については、5月10日に米国、カナダ、メキシコ3カ国の労働組合が共同で、メキシコ北東部タマウリパス州のトリドネックス(Tridonex)での労働権侵害につき、初の提訴を行ったと発表していた(2021年5月12日記事参照)。しかし、現時点では米国またはカナダ政府からは正式な発表は出ていない。USTRの発表では、今回のGM工場の件がRRLMを政府が利用した初の要請としている。RRLMはUSMCAの紛争解決章(第31章)の付属書31-A(米国-メキシコ)と付属書31-B(カナダ-メキシコ)で規定した枠組みで、特定の事業所単位で労働者の結社の自由と団体交渉権に関する権利侵害をめぐる紛争を解決するものとなる。

USMCA付属書31-Aの4条に基づき、今回のUSTRによる要請をもって、米国は問題となっているメキシコの事業所からの製品輸入につき、両国間で労働権侵害が解消されたことに合意するまで、最終的な税関での精算を留保することができる。実際、キャサリン・タイUSTR代表は、財務長官にGMのシラオ工場からの製品輸入にこの措置を適用するよう指示した。GMによると、同工場ではシボレーブランドのシルバラード、GMCブランドのシエラといずれもピックアップトラックを製造している。

USTRがメキシコ政府に送った要請の文書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、米国はGMのシラオ工場で労働者の結社の自由と団体交渉権が侵害されている懸念があると指摘している。一例として、2020年4月初頭に、GMメキシコと労働組合(ミゲル・トゥルヒージョ・ロペス労働組合)の間の団体交渉合意を承認するための投票が予定されていたが、不正行為や投票妨害のため、メキシコ労働・社会保障省が停止したことを挙げており、この出来事は同国の労働法に違反するものだとしている。労働者のための通商政策を掲げるタイUSTR代表は声明の中で「今日の行動は、バイデン・ハリス政権が労働者中心の通商政策を真剣に追求していることを示すものだ」と強調した。

RRLMによると、被提訴国となるメキシコは10日以内に独自調査を行うか否かを返答しなければならない。メキシコが調査不実施また返答しない場合、もしくは調査を経て侵害がないと判断したものの米国と合意できない場合、米国はパネル設置を要請できる。メキシコが侵害の事実を認めた場合は、米国の要請から45日以内に侵害状況の改善を試みなければならない。GMは第三者による事案の精査を行い、米国、メキシコ両政府と協力する姿勢を示している(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版5月12日)。

(磯部真一)

(米国、メキシコ)

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