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新型コロナ警戒事態宣言を解除

(スペイン)

マドリード発

2021年05月12日

スペインは5月9日午前0時、新型コロナウイルス感染拡大防止のための警戒事態宣言を6カ月ぶりに解除した。これに伴い、州をまたぐ移動が全国的に可能となり(ただし、高感染地域のアクセス封鎖は継続)、夜間外出禁止や集会人数制限などの措置も解除・緩和した。9日未明には各地の広場やビーチに大勢の若者が詰めかけ、マスク着用や対人距離確保などの予防対策をせずに祝杯をあげる様子が報じられた。これに対し、感染再拡大を懸念した政府や州政府、自治体関係者が責任ある行動を呼びかけている。

ワクチン普及ペースが加速

5月11日時点の直近14日間の10万人当たり新規感染者数は全国で180.69人と、2020年12月以降の感染第3波ピークの899.93人(1月27日時点)から大幅に改善した。しかし、マドリードやカタルーニャ州では11日時点でそれぞれ291.73人、222.79人と比較的高い感染レベルが続き、集中治療施設占有率も30~40%(全国平均20.48%)で高止まりし、医療態勢は依然として逼迫気味だ。

2020年末に始まったワクチン接種は、4月からワクチン納入が本格化したことで加速し、11日時点で初回接種をした人の割合は29.6%(1,400万人)、接種完了者は同13.3%(633万人)に達した。60歳以上では、人口の88.0%が初回接種、40.9%が接種完了し、直近の新規感染者や死者数は急減している。ペドロ・サンチェス首相は10日、「接種率はあと100日(8月第3週)で全人口の7割に到達する見込み」(「EFE通信」5月10日)と述べており、集団免疫の獲得や平常回帰への期待が高まる。

不人気な規制への後戻りには消極的

一方、自治州は楽観ムードと依然として高い感染率の抑制の間の折り合いに苦慮している。一部の州は夜間外出禁止を当面継続する意向だが、こうした基本的人権に関わる措置には州高裁の許可が必要だ。政府は、警戒事態宣言の法的裏付けがなくなったことで、州高裁の許可が下りなくなる事態を想定し、州政府が最高裁に対し、州高裁決定の破棄申し立てを行える仕組みを作り、各州間の司法判断の整合を図っている。複数の現地メディアの報道によると、既に各州間で夜間外出禁止をめぐる司法判断に食い違いが出るなど、混乱がみられる。

政府は全国レベルの警戒事態宣言はもはや不要との立場で、州単位で警戒事態を発令する場合は支持する方針だ(「ヨーロッパ・プレス」5月10日)。しかし、5月4日のマドリード州議会選挙で、新型コロナウイルス感染対策で規制緩和を推進し、飲食店などの事業継続を支えた現与党の中道右派・民衆党(PP)が圧勝。このような中、いずれの州も経済回復の遅れや州民の反発を招きかねない措置には消極的だ。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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