米政府のメキシコ国境政策に国民の約7割は反対、米シンクタンク調査

(米国)

米州課

2021年05月11日

米国シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは、5月3日にメキシコとの国境問題に関する米国政府の政策についての世論調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)を発表した。

調査結果によれば、メキシコとの国境問題に関する政府の政策を良くないとする人は68%と全体の約7割で(注2)、2019年8月調査時の65%よりやや上昇した。支持政党別でみると、民主党支持者は、2019年8月の84%から今回56%へと低下したが、共和党支持者は、44%から86%に上昇した。

メキシコとの国境問題に向けて政府がとるべき方策については、「国境の警備や取り締まりのスタッフを増やす」(85%)、「同伴者のいない未成年者をより迅速に処理するためのスタッフを増やす」(83%)、「亡命を目的に米国に来る人を減らす」(79%)、「米国に到着した亡命者に安全で衛生的状態を提供する」(77%)、「多くの亡命者が発生する中米諸国などをより支援する」(62%)などを支持している。

条件付きの不法移民の滞在許可への支持が低下

条件付きで不法移民の滞在許可を認めることについては、2020年6月の調査時では75%が支持していたが、今回の調査では69%に低下した。支持政党別では、民主党支持者は2020年6月調査時の89%から今回86%に低下したものの、依然として高い水準だった。共和党支持者は57%から48%に低下し、過半数を下回った。人種別では、ヒスパニック系の支持が最も高く84%、次に黒人が78%と多数だった。アジア系は68%、白人は64%となった。

また、不法移民を深刻な問題とする割合は、2019年の43%から2020年には28%まで低下したが、今回の調査で再び48%まで上昇した。支持政党別の推移をみても、民主党支持者は23%(2019年調査時)、15%(2020年調査時)、29%(今回)、共和党支持者は67%、43%、72%と、いずれも2020年に低下した後、上昇している。

(注1)実施時期は、2021年4月5~11日。対象者は、全米の成人5,109人。

(注2)4月に実施したキニピアク大学の世論調査では、米政府のメキシコとの国境政策に対する支持は29%、支持しないは55%だった(2021年4月15日記事参照)。

(松岡智恵子)

(米国)

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