ロシア、そばの輸出を時限的に禁止

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2021年05月07日

ミハイル・ミシュスチン首相は4月30日、ロシア国内の市場価格高騰を受け6月5日~8月31日の間、そばの輸出を禁止する連邦政府決定(2021年4月30日付第684号)に署名した。

本決定は、輸出禁止対象をそば(HS 100810 0000)、粗挽きそば粉(同110319 9009)、殻付きのそば(110429 3000)の3品目と規定している(注1)。連邦国家統計局によると、2021年3月のそば粉の小売価格は1キログラム当たり94.3ルーブル(約141円、1ルーブル=約1.5円)と前年同月に比べ34.8%上昇した。国内価格上昇の主要因は海外での需要増で、農産品市況研究所(IKAR)はロシアのそばの輸出量について、昨シーズン全体で7万9,000トンだったものが、今シーズンでは現時点で既に22万トンに達していると指摘(注2)。ロシア産そばの主要輸入国は中国、ラトビア、ウクライナ、リトアニア、日本だが、このうち中国については2020年にオーストラリア産そばに対する関税を大幅に引き上げた結果、調達先をロシアに切り替える動きをみせている(「コメルサント」紙4月29日)。

専門家は、今回の決定について必要性の乏しい措置と評している。農業市場分析会社ソフエコンのアンドレイ・シゾフ社長は「今季の収穫が行われた後の今年下半期には価格は落ち着く」との見方を示し、IKARのドミトリー・ルィリコ所長も「今シーズンの終わりまでの備蓄量は十分にある」と述べた(「コメルサント」紙4月29日)。

そばとともに、日本にとって重要な大豆について、ロシア政府は2021年2月1日~6月30日に限定して30%の輸出税を賦課している(2021年1月5日記事参照)。これについて経済発展省は、7月以降、税率を20%(ただし、1,000キログラム当たり100ドルを下回らない)に引き下げるものの、輸出税措置を2022年8月31日まで延長する方針を打ち出している。

(注1)HSコードはユーラシア経済委員会が定める対外経済活動統一品目分類に基づく。

(注2)ロシアにおける穀物シーズンは9月1日から翌8月31日。

(齋藤寛)

(ロシア)

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