第1四半期のGDP成長率は前期比マイナス1.5%、今後の持ち直しに期待高まる

(英国)

ロンドン発

2021年05月18日

英国国民統計局(ONS)の5月12日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、英国の2021年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(第1次速報値)は前期比マイナス1.5%となり、2020年第2四半期(4~6月)以降、3四半期ぶりのマイナス成長を記録した(添付資料図、表参照)。これは、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年12月から導入されたロックダウン(都市封鎖)などが主要因とされる。一方で、当初の予測よりも縮小幅が小さかったことから、市場では今回の結果に対し前向きな見方もなされている。

需要項目別にみると、内需を牽引する個人消費(家計最終消費支出)は前期比3.9%減と、2四半期連続の減少となった。輸出・輸入はそれぞれ7.5%減、13.9%減と大幅に減少した。英国のEU離脱(ブレグジット)の移行期間が同月末に終了したことに伴う貿易量の減少などによる。

産業別では、英国経済を牽引するサービス業が前期比2.0%減を記録。特に、流通・ホテル・レストランが7.4%減と厳しい結果だった。一方で、建設は2.6%増と3四半期連続でのプラス成長となっている。

2021年第1四半期はマイナス成長となったが、3月8日からイングランドとウェールズで学校が再開するなど、ロックダウンが一部緩和されたことから、3月単月の実質GDP成長率は前月比2.1%を記録した。特に、建設業は好調を維持して5.8%増、製造業も2.1%増となった。リシ・スーナック財務相はこの結果に対し「年初が厳しかったにもかかわらず、3月の経済成長は今後の(回復の)有望な兆候だ」と述べ、英国経済は軌道に乗っているとの見方を示した(「BBC」5月12日)。

イングランド銀行(中央銀行)は5月6日に発表したレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、2021年通年の実質GDP成長率予測を2月の5%から7.25%に大幅に引き上げている(2021年5月10日記事参照)。国内で順調に進む新型コロナワクチン接種などによって感染状況が改善しており、今後さまざまな規制緩和が計画されていることが要因とされる。さらに、2021年第4四半期(10~12月)には、新型コロナ前の2019年第4四半期の水準を超えると予測しており、現時点での見通しは明るい。

(杉田舞希、尾崎翔太)

(英国)

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