第1四半期の貿易、輸出入ともに前年同期比で3割増加

(チリ)

サンティアゴ発

2021年05月31日

チリ中央銀行が5月24日に発表した資料によると、2021年第1四半期(1~3月)の貿易(通関ベース)は、輸出(FOB)が前年同期比27.3%増の218億9,700万ドル、輸入(CIF)が27.8%増の193億7,600万ドルで、貿易収支は25億2,100万ドルの黒字になった(添付資料表1、2参照)。

輸出を品目別にみると、鉱産物は、前年比53.8%増の128億5,500万ドルだった(添付資料表1参照)。銅は、主な輸出先である中国経済の回復や、銅の国際価格の上昇(第1四半期の平均価格は前年同期比1.5倍の1ポンド=3.85ドル)などの要因が重なり、56.3%の大幅増となった。銅の輸出は、主な仕向地の中国(構成比:53.4%)と米国(11.2%)向けが増加し、日本(7.6%)向けは減少した。

農林水産物は、前年同期比8.2%増の28億2,600万ドルだった。果物は、主な輸出品のブルーベリーとサクランボがそれぞれ27.6%増、34.4%増となった。

工業品は、前年同期比0.2%減の62億1,600万ドルだった。サーモンは主な輸出先の米国(構成比:41.3%)や、ブラジル(11.5%)向けが減少したことにより5.0%減だったが、日本(23.3%)向けは26.5%増となった。ボトルワインは3.3%増、バルクワイン他は9.1%増で、セルロース、紙、ほかは前年同期比で2桁増になった。

輸入を品目別にみると、中間財は、前年同期比19.4%増の95億1,800万ドルだった(添付資料表2参照)。エネルギー製品は、石油が8.0%増加するも、ディーゼルが16.5%減少し、トータルで2.5%減となった。その他の中間財の化学製品、金属製品の輸入は、どちらも2割超の増加になった。

消費財は、前年同期比39.6%増の58億100万ドルだった。特に耐久消費財の増加が目立っており、コンピュータは2.4倍、自動車は55.1%増、携帯電話は44.4%増だった。テレワークの推進やオンライン授業の常態化に加え、新型コロナウイルス関連の政府による家計支援や、年金積立額が一部引き出し可能になったことによって、一時的に消費が伸びたことが要因として挙げられる。

資本財は、その他の機械やトラック、貨物車の輸入増により、前年同期比33.9%増となった。

輸出を主要国別にみると、中国(構成比:41.0%)、米国(15.5%)、日本(7.0%)の順で、中国と米国向けの拡大は主に銅関連製品の増加によるもの。

輸入を主要国別にみると、中国(構成比:29.9%)、米国(18.4%)、ブラジル(7.5%)の順で、中国からは耐久消費財や新型コロナウイルスのワクチンの輸入が増加し、ブラジルからはエネルギー製品や自動車の輸入が増加した。

(岡戸美澪)

(チリ)

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