3月の小売売上高は2カ月連続で前年同月比プラスに

(香港)

香港発

2021年05月07日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)統計処は5月4日、2021年3月の小売売上高(速報値)が2カ月連続で前年同月比プラスとなり、20.1%増の276億香港ドル(約3,864億円、1香港ドル=約14円)だったと発表した(添付資料図参照)。

なお、同月の小売売上高のうち、全体の7.7%を占めるオンライン販売額は21億香港ドルで、前年同月比43.3%増と大幅に増加した。

業態および品目別にみると、増加幅が最も大きかった品目は「宝飾、時計および高級贈答品」で、前年同月比81.0%増の29億8,300万香港ドル(添付資料表参照)。そのほか、「衣類、靴および関連商品」も75.5%増の31億5,800万香港ドルと大きく増加した。他方、「スーパーマーケット」は16.1%減の42億8,000万香港ドルとなり、前年同月比で3カ月連続減少した。

香港政府報道官は「2021年3月の小売売上高は、比較対象となる前年が新型コロナウイルスの影響で低水準だったことから、前年同月比で大きく上昇した。2月中旬からの新型コロナウイルス感染防止策の段階的な緩和を受け、消費マインドはやや改善しているが、香港のインバウンド観光業の低迷が続く中で、小売業の短期的な見通しは厳しい状態が続くと思われる。新型コロナウイルスの感染を引き続きコントロールし、ワクチンプログラムに積極的に参加することが重要だ」とコメントしている。

また、香港小売管理協会の謝邱安儀主席は「消費の大幅な増加は、失業率の改善と往来再開の時期次第で、早期に新型コロナウイルス感染前の水準に回復するとは考えていない。消費者は、香港政府による5,000香港ドルの電子消費券が配布されるまで消費を控えており、シンガポールとの間のトラベルバブルが予定どおり5月26日に開始されるかも不確実だ」と述べている(「サウスチャイナ・モーニングポスト」紙5月5日)。

(野原哲也)

(香港)

ビジネス短信 2def39291700b058