フィンランド議会、EU復興基金の枠組み承認
(フィンランド、EU)
欧州ロシアCIS課
2021年05月26日
フィンランド議会は5月18日、3月に発表した新型コロナウイルスからの復興計画「復興・レジリエンス計画」の実行に必要なEU復興基金の枠組み「独自財源決定」を本会議で承認した。EU復興基金の財源については、欧州委員会がEU名義の債券を発行して市場から調達するが、その枠組みの決定には全ての加盟国の批准が必要となっている(2021年2月15日記事参照)。
フィンランド政府は3月15日に「復興・レジリエンス計画」案を発表したが、財務省の担当部局は4月13日、同計画最終版の欧州委員会への提出を4月末から5月以降に遅らせると発表し、5月24日時点で未提出だ。
3月に発表した同計画は大きく4つの柱に分けられる。
- グリーンへの移行(8億2,000万ユーロ):経済の再構築と炭素中立な福祉社会への移行
- デジタル化(2億2,000万ユーロ):生産性の向上や、人々のサービスへのアクセス強化に資するデジタル化とデータ経済
- 雇用とスキル(6億4,000万ユーロ):持続可能な成長促進に向けた雇用率やスキルレベルの向上
- 保健、社会サービス(4億ユーロ):社会・保健サービスへのアクセス強化とコスト効率性の向上
雇用とスキルでは、求職者向けサービスをリニューアルし、デジタル技術の活用やより利用者本位のサービスとするとしている。また、労働移民制度の合理化や職場福祉の促進、若者・成人のスキルレベル向上などを目標とする。グリーンへの移行では、同国が水素や循環型経済、二酸化炭素(CO2)無排出のエネルギーシステムなどの分野のリーダーとなることを主要な目標としている。また、エネルギー効率の向上や化石燃料を用いない輸送や暖房への移行を目指す。
2021年の成長率を2.6%と予測
財務省は5月12日に経済予測を発表、2021年の実質GDP成長率を2.6%と予測している。同省は、同年春の新型コロナ感染拡大のため、経済回復は2021年末まで明確には見通せないとしている。一方で、夏に向かうにつれて感染拡大は抑えられるとし、ワクチン接種プログラムの進展により、移動やビジネスの規制の緩和が進むとしている(2021年4月30日記事参照)。
(山田恭之)
(フィンランド、EU)
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