EV委員会、EV充電施設およびバッテリー生産の目標を設定

(タイ)

バンコク発

2021年05月24日

工業省とエネルギー省の共同記者発表資料によると、5月12日にスパッタナポン副首相を議長とする国家電気自動車政策委員会(通称:EV委員会)が開催された。同委員会は、2030年までにタイで生産される自動車の30%を電気自動車(EV)にする目標「30/30政策」に基づき、タイにおけるEVの利用と生産を促進し、タイを世界のEV・同部品の生産拠点に押し上げ、将来的にタイを低炭素社会に導く計画だという(2030年の具体的な年間EV生産台数の目標として、乗用車・ピックアップが72万5,000台、バイク67万5,000台、バス・トラック3万4,000台と設定)。

今回の委員会では、充電設備の国内整備やバッテリー生産などの目標を策定するとともに、EVの国内生産推進に向けた施策の枠組みについて合意。具体的な概要は以下のとおり。

  • 国内に乗用車・ピックアップEV用の充電設備を1万2,000カ所、タクシー・配送業が使うEVバイク用のバッテリー交換ステーションを1,450カ所設置
  • EVの利用促進、関連インフラ整備、バッテリー製造などに対し、金融支援・税制優遇措置を整備
  • スマートグリッドシステム開発に統合する上での安全基準を設定
  • EV現地生産量に合わせたバッテリー生産

EV生産の推進施策の枠組みとしては、移行期におけるEV利用促進のための税制優遇措置や、適切なEV・同部品規格などに重点を置く。EVインフラ整備では、充電設備の設置許可申請にかかる手間や費用、時間の低減を図る。バッテリー普及では、メーカーへの財政支援、原材料の輸入促進のための研究所・試験センターでの規格試験、使用済みバッテリーの処理に関するルール制定などの実施に合意した。

今回のEV委員会での議論結果は、以下の3段階のフェーズごとに分科会で詳しく検討し、次回のEV委員会に再提案する。

  • 第1期:2021~2022年。差し迫った期間として、電動バイクの普及に向けた実証とインフラ支援を行う。
  • 第2期:2023~2025年。EV国内生産に対応したバッテリー生産を含め、2025年までに、EVの乗用車・ピックアップを22万5,000台、バイクを36万台、バス・トラックを1万8,000台それぞれ生産し、EV産業を育成する。
  • 第3期:2026~2030年。30/30政策に基づき、EVの乗用車・ピックアップを72万5,000台、バイクを67万5,000台、バス・トラックを3万4,000台生産する。バッテリー生産を含め、2030年に自動車生産全体の30%を達成する。

(シリンポーン・パックピンペット、北見創)

(タイ)

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