GCC各国、南アジアからの入国規制を相次いで強化

(中東、湾岸協力会議(GCC)、アラブ首長国連邦、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、バーレーン、インド、パキスタン、バングラデシュ)

ドバイ発

2021年04月28日

インドでの新型コロナウイルスの急速な感染拡大に伴い、湾岸協力会議(GCC)諸国は相次いで南アジアからの入国規制を強化した。GCC諸国には南アジアからの移民が多く、さまざまな産業の労働力となっている。各国の規制内容には多少の違いがあるが、移民労働者や現地企業への影響は必至だ。

入国停止や航空便運航停止などの厳しい措置を取ったのは、アラブ首長国連邦(UAE)とオマーン、クウェートだ。UAEは4月25日から10日間、インドからの入国を禁止した。オマーンは4月24日午後6時から、インドやパキスタン、バングラデシュからの航空便を全て停止し、入国を禁止した。クウェートも4月24日から、インドからの全ての航空便を停止した。3カ国とも、トランジット客や自国民、外交官、医療従事者などの例外措置を設けているが(注1)、入国前14日間に対象国に滞在していた者も入国拒否の対象としている。

また、サウジアラビアは2月3日から、日本を含む特定の20カ国からの入国を一時停止しており、インドとパキスタンはこの20カ国に既に含まれている(注2、2021年2月4日記事参照)。

バーレーンは4月27日から、インドとパキスタン、バングラデシュからの入国者に対して、出発48時間以内に取得したQRコード付きのPCR陰性証明書の携行を必須とした。カタールは同日時点で特定国への規制強化は発表していないが、4月25日から入国前72時間以内に取得したPCR陰性証明書の携行が必須となった。同証明書はカタール政府が指定した医療機関発行の書類のみ有効となっている(注3)。

これに伴い、UAEでは入国停止措置の開始直前にインドからの渡航客が空港にあふれた。UAE国内主要紙「ザ・ナショナル」(4月24日)によると、UAEにはインドからの入国を禁止する直前の24日、駆け込みで数千人がインドから入国。ムンバイからドバイへの片道航空券代が4,000ディルハム(約12万円、1ディルハム=約30円)以上と、通常の6倍近くになっていると報じられた。また、航空券を保有していても、UAE入国に必要なPCR検査がインド国内で間に合わず、搭乗できない人も出たとしている。

(注1)UAEは、トランジット客、UAE国民、UAEとインドの外交官などの例外についても、出発前48時間以内のPCR陰性証明書の取得、入国時のPCR検査実施、入国後10日間の隔離を求めるとしている。

(注2)同規制は5月17日に解除される予定だったが、4月22日に解除取り消しが報じられた。

(注3)日本では東京都内4カ所が指定されている(外務省海外安全ホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(山村千晴)

(中東、湾岸協力会議(GCC)、アラブ首長国連邦、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、バーレーン、インド、パキスタン、バングラデシュ)

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