林鄭行政長官、日本企業向けに香港の現状紹介

(香港、日本)

香港発

2021年04月28日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)は4月26日、日本企業関係者向けのオンラインセミナー「香港-ビジネスに有利な中国へのゲートウェイ」を開催した。昨今の香港情勢に対する関心の高さもあり、参加者は800人を超えた。

香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は基調講演で、香港は安定を取り戻し、金融や貿易のハブ機能も変わらないとした上で、これまで同様、国際的な金融・海運・貿易センターと、法律・紛争解決サービスセンターであり続けるとともに、今後はイノベーション・科学技術、航空、文化交流、知的財産権取引の中心地として発展を続けていくと述べた。

長官はまた、香港には進出外国企業の中では最多となる1,400社近い日本企業が進出し、貿易や投資だけでなく、観光や食、文化など多方面にわたり香港と日本の関係は深いと指摘し、香港と日本企業は中国大陸、特に広東・香港・マカオ大湾区ビジネスでの理想的なパートナーで、香港は中国大陸や大湾区の窓口として機能していくと強調した。

写真 香港政府の参加者、中央が林鄭長官(香港投資推進局提供)

香港政府の参加者、中央が林鄭長官(香港投資推進局提供)

続いて登壇したKDDI香港の小嶋康幸社長は、日系企業から見た香港の優位性について、通信分野のハブであり、第5世代移動通信システム(5G)などのインフラ整備やデジタル化の面で世界をリードしていると語った。オムロン香港の山内崇生董事総経理は、香港政府が取り組むスマートシティー計画を足掛かりとした大湾区への事業展開について述べ、日本企業同士の積極的な協業を呼び掛けた。ジェトロ香港事務所の高島大浩所長は、在香港日系企業と日本側本社との間のパーセプションギャップの拡大に懸念を示したほか、香港の金融機能に変化はなく、香港を大湾区ワイドで捉え直して発展の足掛かりにしてほしいと述べた。

写真 KDDI香港の小嶋社長(左)、オムロン香港の山内社長(香港投資推進局提供)

KDDI香港の小嶋社長(左)、オムロン香港の山内社長(香港投資推進局提供)

写真 ジェトロ香港事務所の高島所長(香港投資推進局提供)

ジェトロ香港事務所の高島所長(香港投資推進局提供)

セミナーには、香港政府から林鄭長官のほか、商務・経済発展局の邱騰華(エドワード・ヤウ)局長、金融サービス・財務局の許正宇(クリストファー・ホイ)局長、創新・科技局の薛永恒(アルフレッド・シット)局長、広東香港マカオ大湾区発展弁公室の袁民忠(トミー・ユエン)コミッショナーが参加したほか、香港投資推進局(インベスト香港)のスティーブン・フィリップス局長が質疑応答のモデレーターを務めた。

(渕田裕介)

(香港、日本)

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