米シカゴ連銀ベージュブック報告、自動車の生産減少や在庫不足が続く

(米国)

シカゴ発

2021年04月22日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は4月14日、地区連銀経済報告(ベージュブック)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)を公表した。ベージュブックの中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、2021年2月下旬から3月にかけての同地域における経済活動について、前回報告と同様に、緩やかに(moderately)向上したが、依然として新型コロナウイルスまん延以前の水準を下回ると報告した。本報告の調査対象者からは、今後数カ月で経済活動がさらに活発になることを期待する声が聞かれたが、完全な回復は早くて2022年の前半になるとする意見が大半で、前回のベージュブック報告(2021年3月8日記事参照)から変更はなかった。

経済活動を分野ごとにみると、雇用に関しては、緩やかに(moderately)増加した。新型コロナウイルスの罹患(りかん)や濃厚接触による欠勤は最小限に抑えられていると報告されている。一方、新規採用は引き続き困難で、中には、新型コロナウイルスまん延以前よりも雇用が難しくなったとの声も上がっている。また、雇用主、人材派遣会社および労働力開発機関からは、健康上の安全性への懸念、育児の問題、政府の財政支援など、労働者の採用の妨げとなる要因が多いとの報告がみられた。

個人消費は、緩やかに(moderately)増加した。新型コロナウイルス関連の規制が緩和されたことや、米国救済計画(2021年3月16日記事参照)による景気刺激策が消費活動を活発にしているとの報告もみられた。実店舗での販売は、家具や電気機器などの需要に支えられ、緩やかに増加しており、電子商取引(EC)での消費も引き続き堅調に推移した。自動車販売は堅調に推移し、自動車関連サービスおよび部品の消費は通常の水準に回復した。

企業支出は、緩やかに(moderately)増加した。製造業者においては、依然として一部サプライチェーンに課題があり、在庫水準は適正レベルをわずかに下回るとしている。特に、自動車については在庫不足が顕著で、一部ディーラーでは人気車種の小型トラックが在庫切れとなっているほか、メーカーからの納入予定が見通せないとの声も多かった。設備投資については緩やかに増加しており、今後1年間は緩やかに増加するとの報告がみられた。

製造業の活動は、緩やかに(moderately)増加しており、幾つかの分野では新型コロナウイルスまん延以前の水準を上回っているとの報告がみられた。自動車の製造は、一部の組立業者やサプライヤーにおけるマイクロチップなどの部品不足により、わずかに減少した。鉄鋼の生産は、建設およびエネルギー部門の需要増により、緩やかに増加している。

農業分野に関しては、2021年の所得は向上すると見込まれている。その要因として、主要な農作物の価格上昇や、政府の追加的支援が挙げられている。

個々の調査対象項目ごとのポイントは添付資料参照。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。

(小林大祐)

(米国)

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