日本の対中投資は2桁減も、全体に占めるシェアは拡大

(中国、日本)

中国北アジア課

2021年04月16日

日本の財務省の国際収支状況の報道発表資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(4月8日、第2次速報)によると、日本の2020年の対中直接投資は前年比21.1%減の1兆1,046億円と2桁減になった(添付資料表参照、注)。減少はしたが、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、日本の同年の対世界への直接投資が50%減の12兆3,541億円となったことを考えると、相対的な減少幅は小さい。ちなみに、日本の対世界投資に占める構成比は、前年の5.7%から8.9%へと拡大している。

内訳をみると、2020年も近年と同様に、日本の対中投資の中心は製造業で、金額は7,155億円と全体の64.8%を占めた。しかし、前年比では31%減と2桁減になった。業種別で2位の構成比(28.3%、3,123億円)を占める輸送機械器具が22.4%減になったほか、一般機械器具、電気機械器具がそれぞれ70.1%、41%減少したことなどが背景にある。

一方、非製造業は前年比7.2%増と微増だった。前年1位の輸送機械器具を上回り、2020年最大の構成比となった卸売・小売業が63.8%増の3,179億円と好調だったほか、金融・保険業が43.1%増と急増した。

2021年の日本の対中投資について、中国経済の世界に先駆けた回復はプラス要因となるが、新型コロナウイルスや米中対立など、日本の経営層の投資マインドに影響を与える要因は解消されておらず、今後の先行きは不透明だ。しかし、多くの日本企業の中国市場重視の姿勢は変わらないとみられる。ジェトロの「2020年度 海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」によれば(2020年8~9月実施)、今後1~2年の事業展開の方向性について、「拡大」と回答した在中進出日系企業の構成比は36.6%と、2019年調査から6.6ポイント低下したが、「現状維持」が55.6%で、この2つを合計すると92.2%に達する。そして、「縮小」は6.7%、「第三国(地域)へ移転・撤退」は1.0%となった。

(注)財務省の国際収支状況の「対外・対内直接投資の推移」で公表しているデータと異なる。同データを用いると、2020年の日本の対中直接投資は前年比9.3%減の1兆2,063億円となる。定義の違いは添付資料表内の注4をご参照。

(宗金建志)

(中国、日本)

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