カザフスタン、国産ワクチンの集団接種を開始

(カザフスタン)

タシケント発

2021年04月30日

カザフスタン政府は4月26日、国産の新型コロナウイルスワクチンの「カズ・ワク」(QazVaq)の集団接種を開始した。同国の主要メディア「テングリニュース」(4月26日)が報じた。

「カズ・ワク」は、カザフスタン生物安全保障研究所が独自に研究、開発した不活化ワクチンで、2~8度で保管できれば特別な保冷設備を必要としないのが特徴だ。安全性を国民にPRするため、アレクセイ・ツォイ保健相が自ら接種を受けている。カザフスタン南部のジャンブル州の工場で最初の5万回接種分が製造され、全国各地に出荷されている(注)。5月にはさらに5万回分を出荷し、段階的に生産量を拡大していく予定だ。カザフスタンは世界で5番目に新型コロナウイルスワクチンを開発した国として報じられている(「フォーチュン」4月26日)。

カザフスタンでは2月1日に、医療関係者、教師、軍関係者、警察を対象にロシア製の新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」の接種を開始。4月に入ってからは、接種対象を一般市民に拡大している。集団接種を効率的かつ気軽に受けられるよう、医療機関のほかショッピングモールに接種会場を設置している。接種は無料でおこなわれる。

写真 ワクチン接種会場受付(4月27日ヌルスルタン市内「ハンシャトル」、ジェトロ撮影)

ワクチン接種会場受付(4月27日ヌルスルタン市内「ハンシャトル」、ジェトロ撮影)

写真 受付風景(4月27日ヌルスルタン市内「ハンシャトル」、ジェトロ撮影)

受付風景(4月27日ヌルスルタン市内「ハンシャトル」、ジェトロ撮影)

写真 ショッピングセンターの一角に設けられている(4月27日ヌルスルタン市内「ハンシャトル」、ジェトロ撮影)

ショッピングセンターの一角に設けられている(4月27日ヌルスルタン市内「ハンシャトル」、ジェトロ撮影)

他方、国民のワクチンに対する不信感は根強く、依然として、接種を拒否する人が多い。しかし、接種者が増加するにつれて、意識に変化が生じてきている。保健省によると、大都市を中心に全国で100万人が1回目の接種を受け、20万人が2回目の接種を完了させている。各都市の人口に占めるワクチン接種者の割合は、首都ヌルスルタン市で8.2%、アルマトイ市9.8%、シムケント市8.1%と、大都市部では1割に迫る勢いだ(「ブラスチ」4月28日)。

カザフスタンでは、新型コロナウイルス感染状況が第3波の渦中にあり、4月に入ってから1日の感染者数が2,000人を超えている。世界保健機関(WHO)によると、4月29日現在のカザフスタンの新型コロナウイルス累積感染者数は36万9,704人、死者数4,345人。政府は早急にワクチン接種率を上げ、感染拡大による経済活動への影響を食い止めようとしている。

(注)ワクチン自体はカザフスタンで生産されるが、製剤化(瓶詰め)はトルコの製薬会社に委託され、トルコでおこなわれている(カザフスタン首相府ウェブサイト4月22日)。

(増島繁延)

(カザフスタン)

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