新型コロナ感染拡大で夜間外出禁止など新たな措置を導入

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年04月12日

アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は4月7日、新型コロナウイルス感染拡大を受け、4月9日からの新たな行動制限措置の導入を発表した。新型コロナウイルスに感染し強制隔離中のフェルナンデス大統領(2021年4月6日記事参照)は、事前に録画された演説を通じて「全国で新規感染者数が1週間前に比べて36%増、特にブエノスアイレス首都圏(AMBA、注)では53%増加した」「アルゼンチンに新型コロナウイルス第2波が到来した」と述べ、全国で夜間の移動制限、飲食店の時短営業、自宅での集会を制限する必要性を説明した。

4月8日に公布された必要緊急大統領令(DNU)235/2021号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)による、新たな行動制限措置は以下のとおり。

○新型コロナウイルス感染拡大防止を目的とした予防対策措置を4月9日から4月30日まで導入する。2020年3月20日付で発令され、これまで継続してきた外出禁止措置を廃止し、新たな予防対策措置に置き換える。

○衛生・疫学的リスクが「高・中」の地域を定める。地域の詳細は、保健省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。AMBAは高リスク地域。

○予防対策措置

  1. 義務的な一般ルール:a)最低2メートルの社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保、b)マスクの着用、c)閉鎖空間での適切かつ定期的な換気、d)積極的な手洗い、e)せき・くしゃみは肘で覆う、f)「陽性者」「感染の疑いのある者」「感染者の濃厚接触者」の移動を禁じる。
  2. できる限りテレワークを促す。
  3. AMBAにおける従業員の出勤のための移動手段確保は会社側の責任で、公共交通機関の利用はエッセンシャルワーカーを除いて不可。
  4. 職場では、ソーシャルディスタンスの確保、換気など、従業員の衛生・安全確保を徹底する。
  5. 学校は、衛生手順書を順守し、対面授業を継続する。

○閉鎖空間での収容人数

  1. 工業、商業、サービス業などは、認可された衛生プロトコルを順守し、収容人数を最大50%までとする。収容人数の拡大が許可されている場合は対象外。
  2. 高リスク地域の場合は最大30%まで。映画館、劇場、スポーツクラブ、文化センター、飲食店、ジムなどが対象。

○禁じられている活動

  1. 全土:a)団体旅行・修学旅行・非公式なスポーツ大会など、b)10人以上の自宅での集会。
  2. 高リスク地域:a)自宅での集会、b)屋外での20人以上の集会、c)2メートルの距離が保てない閉鎖空間での10人以上のスポーツ、d)カジノ、ビンゴ、ディスコ、パーティー会場、e)午後11時から午前6時までの飲食店の営業。

○公共交通機関の利用

AMBAでは、エッセンシャルワーカーに限る。例外として、ワクチン接種のために接種会場に向かう者とその付き添いの者は利用を認める。移動許可書の携帯が求められる。

○夜間外出禁止措置

  • 高リスク地域では、午前0時から午前6時までの外出禁止措置を講じる。
  • 各州知事およびブエノスアイレス市長は、感染状況に基づき、同措置の時間帯を拡大することができる。ただし、10時間を超えてはならない。
  • エッセンシャルワーカー、夜勤の経済活動を行う者、出勤または帰宅のための移動が必要な者は対象外。移動許可書の携帯が求められる。

○国境封鎖措置

4月30日まで再度延長する。

保健省の報告によると、4月8日時点の全国の1日の新規感染者数は2万3,683人と、3日連続で過去最多を更新した。累計感染者数は247万3,751人、累計死者数は5万7,122人となった。1日当たりの検査数は約7万5,000件にとどまるが、「少な過ぎる」との指摘があり、陽性率は25~30%と高い。新型コロナワクチンの2回接種を完了したのは、8日時点で70万7,060人(全人口の約1.6%)と報告されており、国内ではワクチン不足が生じている。

(注)AMBA:ブエノスアイレス市および近郊ブエノスアイレス州の35都市で構成される地域。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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