55歳以下の成人へのアストラゼネカ製ワクチン接種を4週間停止

(ベルギー)

ブリュッセル発

2021年04月12日

ベルギー連邦厚生省は4月7日、新型コロナウイルスワクチンの接種について、18~55歳に対する英国アストラゼネカ製のワクチン接種を停止し、米国モデルナや米国ファイザーが製造するワクチンで代替すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。56歳以上に対しては、これまでどおりアストラゼネカ製ワクチンも使用する。ベルギー国内では現在、65歳以上の高齢者および重症化リスクが高い基礎疾患を持つ患者を主な対象としてワクチン接種を実施しており、政府が進める現在のワクチン接種キャンペーンへの影響はほとんどないと当局は説明している。ベルギーのワクチン戦略では、ワクチンの接種を3段階で実施しており、まず第1段階では高齢者施設の入居者と従業員、医療従事者への接種が行われ、現在のワクチン接種対象グループは第2段階に入っている。

今回の決定は、ドイツ、フランス、英国などで、特に若年層においてアストラゼネカ製ワクチンの接種後に、きわめてまれに血小板の減少に伴う血栓症の発生が確認されたとした欧州医薬品庁(EMA)の同日の発表を受けての対応と当局は説明している。55歳以下のグループにとっても、アストラゼネカ製ワクチンの接種のメリットは大きいものの、ファイザーおよびモデルナのメッセンジャーRNAワクチンや、米国ジョンソン・エンド・ジョンソン製のワクチンの供給も今後開始され、5月以降には、ワクチンの供給量は大幅に増加することから、利益とリスクを評価すると、アストラゼネカ製以外のワクチンの方が若年層には適当だとした。今回のアストラゼネカ製ワクチンに関する決定は4週間後に再評価される。

また、連邦政府は、EU保健担当相理事会を通じて、EMAがアストラゼネカ製ワクチンの利益とリスクについて、年齢グループ別のより詳細な分析を実施し、(1回目の接種で当該ワクチンを接種した場合の)2回目の接種という緊急課題に対処することを要請した。

なお、ベルギーでは4月11日時点で、全人口の15.5%(18歳以上の19.4%)が1回目のワクチン接種を、5.4%(6.7%)が2回目のワクチン接種を完了している。

(大中登紀子)

(ベルギー)

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