工業省、国産品振興も国内で代替不可の原材料は輸入許可の方針

(インドネシア)

ジャカルタ発

2021年04月14日

ジェトロは3月30日、国産品活用推進(P3DN)プログラムについて、インドネシア工業省のドディ・ウィドド次官へヒアリングを行い、同プログラムの推進による日系企業への影響などを聞いた(ヒアリング実施日:3月30日)。

P3DNは、インドネシア政府が、2018年から取り組む産業の競争力強化についてのプログラムだ。大統領令2018年第29号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに記載されており、商品に対する現地調達率(TKDN)証明書付与などを通じ、国産品の活用を奨励している。同プログラムについては、アグス工業相が2021年2月10日、国内産業を発展させるためP3DNの取り組みを加速していきたいと発言し(「インダストリー」紙2月10日)、日系企業の間で、輸入の締め付けにつながるのではとの懸念も出ていた。

今回のヒアリングにおいて、ドディ次官は、工業省は国産品で代替不可のものは輸入を認めていく一方、完成品の輸入許可は商業省の管轄だとした。完成品輸入について、日系企業に与える影響は依然として不透明で、引き続きP3DNの動向について注視する必要がある。ドディ次官の発言要旨は以下のとおり。

(1)P3DNの概要について

  • P3DNは、国内生産品の購入・使用を優先し、インドネシアの産業の成長と投資家の利益の両方の促進を図るのが目的。
  • 2022年に、2019年輸入額の35%を輸入代替することを目標にしている。主に原材料が輸入代替の対象で、例えば国産天然ガスを使った製品の生産など、まずは上流の国産化を目指したい。次に、プリント基板やコンポーネントなどのミッドストリームに着手していきたい。
  • ローカルコンテント(LC、注1)だけでなく、ローカルパーチェス(注2)に着目するコンセプトだ。例えば、自動車のLCは比較的高いが、自動車鋼板の原材料の多くは元々輸入したもので、ローカルパーチェスは低い。
  • 商品ごとにLC率を設定する。医薬品については新しいLC率の計算方法を出す予定。
  • 工業省内は商品別に組織が分かれており、問題点も担当者も異なる。個別にP3DNを検討していく。

(2)日系企業に与える影響について

  • 原材料や代替品がないものは引き続き輸入を認めていくため、心配は要らない。国産品で全ての需要を賄うことはできず、また他国との関係やグローバルサプライチェーンの重要性は認識している。
  • 輸入許可の増減は、国内生産者保護の観点から、需要と供給のバランスで決める。

(3)その他

  • 一般輸入事業者ライセンス(API-U)事業者(注3)の輸入許可は商業省の管轄だ。

(注1)海外進出した企業が製品などを現地で生産するとき、原材料や部品などを現地で調達すること。または全ての原材料や部品などのうち、現地で調達する割合(現地調達率)のこと。

(注2)現地調達のうち、純粋な地元産品の調達の割合。

(注3)完成品や一般品の輸入を行う事業者が取得するライセンス。輸入品をそのまま他社に転売することが可能(インドネシア 貿易管理制度 「輸入関連法」詳細参照PDFファイル(350KB))。

(中沢稔)

(インドネシア)

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