中国、RCEP協定の批准書をASEAN事務総長に寄託、国内手続きを完了

(中国)

北京発

2021年04月27日

中国商務部は4月15日、ウェブサイトにおいて、中国がASEAN事務総長に「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」の批准書を寄託し、同協定の国内批准手続きを正式に完了したと発表した。商務部の王受文副部長は、3月25日に開催された国務院の定例政策ブリーフィングにおいて、中国がいち早く協定を批准したことは、中国政府が協定の早期発効を非常に重視し、全力で支持していることを反映したものだとしていた。

原産地関連の制度整備や公務員・企業向け研修など、発効に備えた準備進む

3月25日の定例政策ブリーフィングにおいて、商務部や海関総署はRCEP協定発効に向けた準備状況などについて説明した。関税譲許や原産地認証などに関する技術面の準備について、王副部長は協定に関する法的拘束力のある義務701件のうち、87%に当たる613件の発効に向けた準備を完了したと述べた。税関総署関税徴収管理司の姜峰司長は、原産資格、原産地証明などに関する「RCEP輸出入貨物原産地管理弁法」を策定しているほか、認定された輸出者による自己原産地証明制度を広範囲に導入するため、「税関認定輸出者管理弁法(意見募集稿)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公布するなど原産地の管理制度を整備していると説明した(注1、2)。また、原産地管理に関する情報システムを構築し、原産地証明の発行モデルの改革などを通じて、企業が容易に原産地証明書を取得できるようにするとした。

企業による協定の利用促進について、商務部国際経貿関係司の余本林司長は、商務部が2021年1月18~19日と3月22~23日の2期にわたってオンライン研修を実施した、と説明した。第1期は全国の省・市・自治区の商務、税関、貿易促進部門から約6,000人が参加し、第2期は全国各地、各業界の重点企業、民営企業、中小零細企業の6万人以上が参加した。研修では、RCEP協定の規則などについて解説したほか、機械、電子情報、軽工業、紡績業、石油化学工業、農業を中心に、RCEP協定がもたらすビジネス機会および企業へのアドバイスについて紹介した。商務部は今後も、関連部門と連携してRCEP協定のPRと研修を強化するとしている。

(注1)海関総署は3月31日、「RCEP輸出入貨物原産地管理弁法(意見募集稿)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、5月1日まで意見募集を行っている。

(注2)海関総署関税徴収管理司の姜峰司長によると、認定輸出事業者制度は、原産地規則の運用に習熟した企業が海関の認定を受けて、自ら原産地証明を発行することができる制度。中国が他国・地域と署名済みの自由貿易協定(FTA)の中では、スイス、アイスランド、モーリシャスとのFTAにおいて同制度が採用されている。

(張敏)

(中国)

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