2021年の経済はロックダウンで回復に遅れ、春季合同経済予測を公表

(ドイツ)

ベルリン発

2021年04月22日

ドイツの主要経済研究所(注1)は、4月15日に春季合同経済予測を公表した。2021年の実質GDP成長率は3.7%と、前回の秋季予測(2020年10月21日記事参照)における成長率予測より1.0ポイント下方修正され、成長が鈍化。一方、2022年は3.9%と前回予測より1.2ポイント上方修正された(添付資料表参照)。

2020年秋以降の新型コロナウイルス感染拡大防止のための行動規制措置により、経済の回復プロセスが遅れているため2021年の予測は下方修正したが、新型コロナウイルスワクチン接種が進めば感染リスクが低減し、2022年初頭には経済活動が通常レベルに回復するとして、2022年の予測は上方修正した。今後、全国で行動規制措置が統一される(注2)ことで再び行動規制が強化され、規制緩和は2021年第2四半期半ばごろとなり、規制が解除される時期は第3四半期末と予測している。

また、新型コロナウイルス感染拡大による経済回復の遅れだけでなく、人口動態の変化、すなわち高齢化が経済成長を鈍化させる可能性も指摘した。1950年代から1960年代生まれのベビーブーマー世代が定年退職を迎え労働人口が減少し、高齢者の割合が大幅増となる。この影響により、潜在成長率は2030年までに約1ポイント減になると予測している。

今後の予測における最大の下振れリスクは、感染拡大の推移にあるとしている。ワクチン投与と抗原検査の提供が遅延する可能性、さらに新たな変異株の出現による既存ワクチンの有効性の低下により、行動規制緩和が中断し、景気回復が再び後退する可能性があるとした。

ペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相は同日、同予測について「ドイツ経済は来年にはかつての力強さを取り戻せる。製造業が堅調で、第1波とは異なりサプライチェーンは維持されている。早ければ第2四半期半ばには、ワクチン接種が進み、復興に弾みがつくだろう」とコメントしている。

(注1)主要経済研究所とは、ifo経済研究所、ドイツ経済研究所(DIW)、ハレ経済研究所(IWH)、キール世界経済研究所(IfW)、RWIエッセン。

(注2)これまでは連邦首相と州政府首相の合意に基づき、各州がそれぞれ行動規制を定めてきたが、連邦政府は、感染症予防法改正により全国で統一した行動規制を適用可能にする予定。州ごとにコロナ対策の規制にばらつきが出ている状況を是正し、感染防止効果を高め、重症患者用の病床数が逼迫する状況の改善を狙う。

(中村容子)

(ドイツ)

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