日本・香港政府間の合意受け、放射性物質検査証明書などの電子化実現

(香港、日本)

香港発

2021年04月01日

農林水産省は3月26日、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県の5県から香港へ輸出される農水産・食品(注)に関する手続きを発表した。これまで必ず添付が求められていた放射性物質検査証明書などについて、香港政府との合意を受け、各地の地方農政局などの窓口または郵送で行ってきた証明書交付を取りやめ、香港輸入時に貨物への証明書添付を不要とする一方で、Eメールによって証明書の電子データを、(1)日本各地の地方農政局などから香港の食物環境衛生署(FEHD)へ、(2)輸出事業者から輸入事業者へ、それぞれ送付するように変更する。4月1日からの実施。

農林水産省食料産業局輸出先国規制対策課の担当者は「放射性物質検査証明書などを必要とする規制自体は撤廃しておらず、地方農政局などへの証明書の発給申請自体は必要だ。通関時には証明書の電子データが必ず必要となるため、日本の輸出事業者は地方農政局などから送付された証明書の電子データを香港の輸入事業者へ送付し、電子データが到着しているか、香港での通関時までに事前に確認しておく必要がある」と、注意を呼び掛けている。

在香港のある農産物輸入卸企業関係者は「今回の日本の農林水産省と香港政府の合意により、放射性物質検査証明書などが電子化されたことを歓迎する。これにより、証明書を地方農政局などに取りに行く手間や、貨物に証明書を添付して確認する手間がなくなることは朗報だ。日本の産地にとっても香港向け輸出の手続きが1つ少なくなったことは良いメッセージになるのではないか。産地には、日本にとって一大輸出市場である香港への継続的かつ安定的な供給を期待したい。日本政府に対しては、証明書申請手続きが残り、香港向け輸出への追加コストがまだかかる中、産地が香港に青果物を輸出したくなるインセンティブの付与を期待したい。車の両輪がかみ合って初めて、5県産の青果物のさらなる香港への輸出の伸びが期待できるだろう」と述べた。

(注)放射性物質検査証明書の電子化対象品目

  • 福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県→食肉、家禽(かきん)卵、水産物
  • 茨城県、栃木県、群馬県、千葉県→野菜、果物、牛乳・乳飲料・粉乳

(参考)農林水産省が今回発表した香港向け食品輸出に関する放射性物質検査証明書などの電子化に関するパンフレットPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)

(前田久紀)

(香港、日本)

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