消費者基本法改正案のパブコメ募集開始、団体訴訟の要件を改正

(韓国)

ソウル発

2021年04月15日

韓国の公正取引委員会は4月12日、消費者基本法の改正案を公告、パブリックコメント募集を開始した。同法は、消費者の権利を促進するため、消費者の権利と責務、国や地方自治体の責務を明確化し、消費者と事業者(注)の関係を規定するとともに、消費者政策の基本的な事項を定めることで、消費生活の向上と国民経済の発展を目的としている。詳細は国民参加立法センター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから閲覧可能。主な改正点は以下のとおり。

1.公正取引員会の調査権(同法第26条第3項から第6項、新設)

公正取引員会は、消費者権益の増進、政策委員会の運営などのため、必要な場合に消費実態や取引状況、市場の消費者指向性などに関する調査を実施し、その結果を公表することができる規定を追加。さらに、関連する事業者に必要な資料の提出を要請することが可能であり、要請を受けた事業者は正当な事由がない限り、当該要求に従わなければならない規定を追加。

2.消費者権益増進財団の設立(法第27条の2から7、新設)

公正取引員会は、消費者団体の支援や育成などのための「消費者権益増進財団」設立の諸規定を整備。財団の主な役割は以下のとおり。

ア.消費者権益の増進と被害予防のための教育・広報・研究・調査事業への支援

イ.消費者問題の相談・紛争調整や訴訟などの被害救済事業への支援

ウ.消費者団体への支援

3.消費者団体が訴訟を提起できる要件の変更(法第70条、第73条、第74条)

(1)現行規定では「消費者団体は、事業者が消費者の生命および身体または財産に対する権益を直接侵害し、その侵害が続く場合、当該消費者の権益を侵害する行為の禁止および停止を求める訴訟(団体訴訟)を提起できる」と規定しているが、改正案では「権利の侵害が続く、または著しい侵害が予想され、多数の消費者の権益保護と被害予防のため公益上の必要がある場合、団体訴訟を提起できる」と改正。

(2)現行の、団体訴訟を提起できる団体が訴訟を提起する際、裁判所に許可申請書を提出し、裁判所は要件に適合した場合に限り団体訴訟を許可することとする規定を削除。

(注)事業者とは、物品の製造(加工または包装を含む)・輸入・販売・役務を提供する者(同法第2条)

(当間正明)

(韓国)

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