米FRB、金融政策の現状維持を決定、早期の緩和縮小を否定

(米国)

ニューヨーク発

2021年04月30日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は4月27、28日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.00~0.25%とする金融政策の現状維持を決定するとともに(添付資料図参照)、米国債などを月1,200億ドル購入している現状の量的緩和策も現状維持を決定した。今回の決定も前回同様、全会一致だった。

FOMCの声明文では、米国経済全般の状況判断について、「新型コロナウイルスのワクチン接種の広がりと大規模な財政支援を受けて、経済活動と雇用の指標は強さを増している」と指摘し、前回会合から景気認識を上方修正した。また、前回は新型コロナウイルス感染拡大の打撃が大きかった産業について「依然弱いまま」としていたが、今回声明では「回復し始めている」として、景気回復が裾野まで広がっているとの認識を示した。

ジェローム・パウエルFRB議長は会合後の記者会見において、「経済回復は完全ではないが、ワクチン接種が継続すれば今年後半には経済はより正常化するだろう」と景気回復の認識を示した一方、現状の資産緩和策の見直しについては「まだそのときではない」として、現行の政策を継続する意向を示した。また最近、住宅価格など資産価格が上昇している状況について、「資産価格の一部は高く、金融市場に小さな泡がたち始めている。これは現行の金融政策と無関係ではないだろう」と述べ、資産価格上昇への警戒感を示した。

また、長引く量的緩和や大規模な財政支出などにより金融市場で流動性が過剰となっており、金利の低下幅が狭まっている現状に鑑みて(FF金利は直近0.07%)、銀行の超過準備預金に対する付加金利(The interest rate on excess reserves)などを引き上げて資金需給をタイトにするのではないか、との観測が一部でていたが、パウエル議長は会見でこれを否定し、「FF金利は目標内に収まっており、金融市場に問題はない」「必要があれば対応する」と述べた。

(宮野慶太)

(米国)

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