教育・研究省、6G関連プロジェクトに総額7億ユーロ助成
(ドイツ)
ミュンヘン発
2021年04月20日
ドイツ教育・研究省は4月12日、第6世代移動通信システム(6G)関連プロジェクトに対し、2025年までに総額約7億ユーロを助成すると発表した。
同省は、6G技術は2030年ごろをめどに、5Gの後継として導入されるとみており、6Gのデータ伝送速度は5Gの100倍以上になるという。同省は6G技術が人工知能(AI)を利用した現実と仮想世界の接近、生産活動の遠隔運用・操作、遠隔医療などで活用できると見込む。
欧州とドイツが技術的な主権性を保つため、「今6G研究に投資が必要」(アーニヤ・カーリクチェック教育・研究相)としており、今回のプロジェクトでは、6G研究・開発に向けて関係する大学・研究機関、企業などが共同で研究・情報交換できるプラットフォームの構築を目的とする。
プロジェクトは大きく2つに分かれる。「6G研究ハブ(6G-Forschungs-Hubs)」プロジェクトでは、次世代無線通信や光ファイバー網整備を通じた情報通信技術研究に資する大学・研究機関間の協力を促す。分野としては、新素材の活用、アンテナなどのデバイス開発、ネットワークマネジメントのためのモデム・ソフトウエア開発など包括的な分野となっている。一方「6Gプラットフォーム(6G-Plattform)」プロジェクトでは、「6G研究ハブ」と協力した6G標準の研究、他国の6Gプログラムとの協力・調和、規制・標準化に関する課題への対応などに取り組む。
今回の助成は、連邦政府が新型コロナウイルス禍における経済対策として2020年6月に決定した約1,300億ユーロ規模の経済刺激策「未来パッケージ」(2020年6月10日記事参照)の一環。「未来パッケージ」では6G研究に総額6億8,500万ユーロが確保されており、これに教育・研究省の独自予算を追加して助成する予定。
(クラウディア・フェンデル、高塚一)
(ドイツ)
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