欧州中銀、金融緩和政策を維持、経済活動は2021年中の回復を予測
(EU、ユーロ圏)
デュッセルドルフ発
2021年04月27日
欧州中央銀行(ECB)は4月22日、ドイツ・フランクフルトで開催した政策理事会後の記者会見で、現状の金融緩和政策を維持すると発表した。政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)を0.00%、限界貸付ファシリティー金利(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)を0.25%、預金ファシリティー金利をマイナス0.50%にそれぞれ据え置く。
また、「新型コロナ禍」での緊急対策として打ち出した資産購入プログラム「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」を1兆8,500億ユーロの規模で2022年3月まで、あるいは政策理事会が危機が終わったと判断できる時まで継続する姿勢を維持した。また、3月の資金調達環境とインフレ見通しを踏まえ、政策理事会はPEPPを通じた購入について、2021年第2四半期は2021年の最初の数カ月間より大幅に加速するとの見通しも維持した。さらに、良好な資金調達状況を達成できる場合は、必ずしもこの上限額まで資産購入を行わない一方、必要に応じて購入規模を再度調整する可能性も引き続き示した。なお、PEPPを通じて購入し保有する債券・国債の償還後の再投資についても引き続き、少なくとも2023年末まで継続するとした。
ユーロシステムによる債券・国債の購入プログラム(APP:asset purchase programme)での、月額200億ユーロ規模の債権・国債の購入も継続する。緩和政策の効果を高めるため、資産購入については、金利の引き上げ開始前まで「必要な限り」継続するとし、APPの下で購入し保有する債券・国債の償還後の再投資については、主要政策金利の引き上げ開始以降も必要な限り続ける方針をあらためて示した。
さらに、貸し出し条件付き長期資金供給オペレーション(TLTRO-III:Targeted longer-term refinancing operations)も引き続き継続。同オペレーションでの資金調達額は高く、銀行の融資活動における同オペレーションの重要性を強調した。
クリスティーヌ・ラガルドECB総裁は記者会見で、ユーロ圏の経済成長の見通しについて「短期的には下振れリスクが依然として残っているものの、中期的には均衡している状況だ」とした。変異株のまん延を含むパンデミックの進行やそれに伴う制限措置の延長・強化が短期的に経済成長を抑制し続ける一方、中期的には、ワクチン接種キャンペーンの展開や制限措置の段階的な緩和、世界的な需要の見通しの改善などにより、ユーロ圏における経済活動は2021年中に堅調に回復すると予想している。
(ベアナデット・マイヤー)
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