2021年1~3月の失業率は改善するも、なお高水準

(香港)

香港発

2021年04月28日

香港特別行政区(以下、香港)政府統計処は4月22日、2021年1~3月期の失業率(季節調整済み、速報値)が、2020年12月~2021年2月期の失業率から0.4ポイント改善して6.8%になったと発表した(添付資料図参照)。失業率が改善するのは、2020年9~11月期以来となる。

業種別にみると、小売・宿泊・飲食業などの個人消費や観光に関連するセクターが2020年12月~2021年2月期から0.4ポイント改善して10.7%となり、中でも飲食業は14.1%から13.3%へと改善している。

政府労働・福祉局の羅致光局長は発表に際し、「失業率改善のペースは各セクターでまちまちで、また、インバウンド観光は依然として低迷が続いていることから、労働市場は近い将来も厳しい状況が続くだろう。しかし、新型コロナウイルス感染拡大第4波(注)を引き続き抑えることができれば、消費関連セクターの事業環境が改善し、労働市場の圧力が緩和されるかもしれない」とコメントした。

香港中文大学国際ビジネス・企業プログラムの李兆波共同ディレクターは「失業率の改善は経済活動制限緩和の影響によるものと考えられるが、往来の制限はまだ十分に緩和されていない。新型コロナウイルス感染の状況は改善しつつあるが、いまだリスクもあり、将来的に失業率が上昇する可能性もある」と指摘した(「サウスチャイナ・モーニングポスト」紙4月23日)。

(注)香港では一般的に、2020年1月の新型コロナウイルス感染拡大開始を「第1波」、同年3月中旬以降の輸入症例拡大を「第2波」、同年7月中旬以降の域内感染拡大を「第3波」と呼んでいる。現在は「第4波」が到来しているとされる。

(野原哲也)

(香港)

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