セルビア大統領、日本電産の進出決定を歓迎

(セルビア)

ウィーン発

2021年04月14日

日本電産は4月9日、セルビアの首都ベオグラードから北西約90キロに位置するセルビア第2の都市ノビ・サド市に、最新設備を備えた車載用モーターとインバータの工場を建設することで、セルビア政府と正式合意した。同社プレスリリースによると、セルビアに進出し工場を設置するのは日本電産とその子会社の日本電産エレシスで、最終的な雇用者数は両社合わせて1,200人、建設工事の着工は2021年9月、竣工(しゅんこう)は2022年半ばを予定している。同合意を受け同日に、セルビア大統領府において、アレクサンダル・ブチッチ大統領、勝亦孝弘・駐セルビア日本大使、関潤日本電産社長、ミロシュ・ブーチェビッチ・ノビ・サド市長らが出席し、記者会見が行われた。

ブチッチ大統領は会見の場で、「日本電産の決定はノビ・サド市のみならず、セルビア全体にとっても素晴らしいニュースで、日本からセルビアへの投資拡大の始まりになると信じている」と述べるとともに、同国にとって極めて重要なプロジェクトの1つであり、インジヤ市のTOYO TIRE、ノビ・サド市の日本電産という2つの日本からの投資が存在するということは非常に重要なことだと述べた。また、「われわれの重要な目標は、新型コロナウイルスに打ち勝つこと、そして、可能な限り高い経済成長を実現するために、特に外国からの投資を促進することだ」と述べ、さらなる日本からの投資に期待を寄せた。なお、同記者会見の様子は、セルビア大統領府ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに写真付きで掲載されている。

ブチッチ大統領は、以前から親日派として知られ、これまでにも日本企業によるセルビア投資を支援し、2020年12月に行われたTOYO TIREインジヤ工場の起工式(2020年12月21日記事参照)、2017年の矢崎総業工場開所式にも自ら参加している。

日本企業によるセルビア進出は、中・東欧諸国への進出に比べると非常に限定的で、在セルビア日本企業は24社にとどまる〔外務省「海外進出日系企業拠点数調査(2019年10月時点)」〕。製造業では、矢崎総業、前川製作所、JTI(JTインターナショナル)などが進出している。

セルビア日本商工会(JBAS)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、日本電産のセルビア進出に関するジェトロからの問い合わせに対し、「JBASは日本電産のセルビア進出を祝福する。既進出日本企業のノウハウを日本電産と共有できるのを楽しみにしている」と歓迎のメッセージを寄せた。

セルビアには以前から多くの欧州企業が進出しており、最近ではドイツの自動車部品メーカーZFによる電気自動車(EV)関連の研究開発(R&D)投資などの新たな動きもみられ(2019年6月21日記事参照)、今後、優秀な現地人材の確保が課題となる。

(鈴木秀男)

(セルビア)

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