セネガル大統領がベルギー公式訪問、新型コロナワクチンの現地生産に向け覚書締結

(ベルギー、セネガル)

ブリュッセル発

2021年04月14日

セネガルのマッキー・サル大統領はベルギーを公式訪問し、4月12日にアレクサンドル・ド・クロー首相、翌13日にエリオ・ディルポ・ワロン地域政府首相とそれぞれ会談し、経済協力や気候変動対策、ワクチン開発・生産を含む新型コロナウイルス対策などに関して意見交換を行った。

4月12日の首脳会談後に発表されたベルギー首相府の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、セネガル政府が定めた「セネガル新興計画(PSE)」に基づき、ベルギー政府が支援する2カ所の農業・食品産業向け工業地帯の着工計画や、砂漠化対策を含む気候変動対策などについて協議が行われた。新型コロナウイルス感染の影響で実施が延期されたセネガルへの経済ミッションについては、2022年に実施することで合意した。同ミッションは、フィリップ国王の妹アストリッド王女を団長として、当初は2020年6月に派遣が予定されていたもので、参加予定者は240人を超えるなど、ベルギー企業側のセネガルに対する関心の高さがうかがえた。

サル大統領とワロン地域政府のディルポ首相との会談では、ワロン地域政府の声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、セネガルは同地域にとっての重点国だと強調。この会談に先立って、2025年までの5カ年にわたる両国間の協力計画が採択されており、今後、保健や環境、職業教育、観光、文化などの分野で新たな協力事業を進めていく予定という。

保健分野協力の一環として、ワロン地域を拠点とするバイオテクノロジー企業のユニベルセル(Univercelles)は会談に併せて、セネガルの保健調査・疫学監視・訓練研究所(IRESSEF)、パストゥール研究所とそれぞれ覚書を締結した。IRESSEFとはポリオワクチンなどの定期予防接種の対象となるワクチン、パストゥール研究所とは新型コロナワクチンの研究開発・現地生産で協力する。ユニベルセルは、イタリアのレイテラ、ドイツのロイコケアと共同で、アデノウイルスベクターを使用した新型コロナワクチンを開発しており、現在900人の被験者に第II相試験を行っている。

(山田泰慎)

(ベルギー、セネガル)

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