首相候補、最大与党CDU/CSUはラシェット氏、緑の党はベーアボック氏を選出

(ドイツ)

ベルリン発

2021年04月27日

ドイツ最大与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)は4月20日、アルミン・ラシェット氏(CDU党首、ノルトライン・ウェストファーレン州首相)を首相候補として選出した。対抗馬は、姉妹政党キリスト教社会同盟(CSU)のマルクス・ゼーダー氏(バイエルン州首相)だった。同氏は、新型コロナウイルス対策の手腕により国民の支持を集めていたが(2021年1月22日記事参照)、最終的に20日のCDU理事会投票で支持を集めることはできなかった。ラシェット氏は「現状維持はありえない。ドイツは、イノベーションと信用の拡大や、官僚主義からの脱却など、現代化を推進する必要がある」と述べている。

4月19日には、環境保護政党である緑の党(Grünen)が、2018年からロベルト・ハーベック氏と共同党首を務めるアンナレーナ・ベーアボック氏を選出した。緑の党として、初の女性首相候補の指名となる。ベーアボック氏は、気候保護がこの時代の中心的な課題であると強調するとともに、「欧州の産業競争力、中小企業、手工業、活気のある文化のために、この国で可能な限り最高のものをつくりたい。そのためには、研究開発やイノベーション、警察署や裁判所(のデジタル化など)、デジタル行政や高速インターネットなどへの投資が必要」とコメントした。

CDUと連立政権を組む中道左派の社会民主党(SPD)は、2020年8月に、首相候補としてオラフ・ショルツ氏(財務相兼副首相)を選出しており、総選挙における主な首相候補者の顔ぶれが出そろったことになる。

経済誌「ビルトシャフツボッヘ(WirtschaftsWoche)」が調査会社チベ(Civey)と実施した、経営者や企業幹部1,500人超を対象にした次期首相に関する調査(実施期間:4月20、21日)では、連邦政府での経験がないにもかかわらず、緑の党のベーアボック氏が26.5%と高い支持を獲得している。次いで、リベラル政党で経済界に近い自由民主党(FDP)党首のクリスチャン・リンドナー氏(FDPの最有力首相候補)が16.2%、ラシェット氏(CDU)は14.3%、ショルツ氏(SPD)が10.5%と続く。テレビ局RTLが調査会社フォルサ(Forsa)と4月20日に行った世論調査では、これまで支持率1位を維持してきた最大与党のCDUが7ポイント低下(21%)した一方、野党の緑の党が5ポイント増(28%)となり、与野党の支持率が逆転した。

9月の連邦議会(下院)選挙に向けて、単独政権の樹立が見込めない中、どのような連立政権になるか、注目が集まる。

(ヴェンケ・リンダート)

(ドイツ)

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