ドイツ最大与党CDU、ラシェット氏が新党首に

(ドイツ)

ベルリン発

2021年01月22日

アンゲラ・メルケル首相が所属するドイツ最大与党、キリスト教民主同盟(CDU)の党大会が1月16日に開催され、党首選挙の結果、アルミン・ラシェット氏が新党首に選出された。党大会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により当初予定されていた2020年の4月25日から12月4日へ、さらに今回の日程(2021年1月16日)へと2度にわたる延期を余儀なくされていた。今回は、初のオンライン大会およびデジタル投票が行われた。オンライン投票の結果の確定は、手続き上必要とされる郵送による投票の結果が集計される1月22日となる。

候補者は、アルミン・ラシェット氏(ノルトライン・べストファーレン州首相)、フリードリヒ・メルツ氏(CDU経済委員会副委員長)、ノルベルト・レトゲン氏(元環境相)の3氏だった。1回目の選挙では、レトゲン氏が224票、ラシェット氏が380票、メルツ氏が385票を獲得。ラシェット氏とメルツ氏の決選投票で、ラシェット氏が521票、メルツ氏が466票を獲得して、ラシェット氏が勝利した。

ラシェット氏はメルケル首相の側近で、中道右派といわれるCDUを党綱領どおり「中道政党」と位置付けていることから、9月に行われる連邦議会選挙の後に首相に選出されれば、メルケル首相の中道路線を継承する可能性が高い。CDU党首がCSU(バイエルン・キリスト教社会同盟、CDUと統一院内会派を組む)との統一首相候補となるのが通例だが、世論調査におけるラシェット氏への支持は低迷しており、国民の人気の高いイェンス・シュパーン保健相やマルクス・ゼーダーCSU党首(バイエルン州首相)などが首相候補として取り沙汰されている。テレビ局RTLが調査会社フォルサ(Forsa)と1月に実施した首相候補に関する世論調査によると、ゼーダー氏が36%と最も人気が高く、次いでラシェット氏が21%、シュパーン氏が10%、メルツ氏が3%と続く。最終的なCDU/CSU首相候補者の決定は、3月14日に行われる南部のバーデン・ビュルテンベルク州とラインラント・プファルツ州での州議会選挙の結果を踏まえて決定されるとみられている。

ドイツ産業連盟(BDI)のジークフリート・ラスブルム会長は1月18日、新党首に祝意を示すとともに、「大連立は、インフラと投資(の必要性と実態と)の大きなギャップを埋められていない。経済や社会、新型コロナウイルス対策、デジタル化、気候保護などの課題への資金提供要請は膨大。新党首はドイツの競争力が、経済成長、繁栄、個人の生活向上の機会となる鍵だと認識することが急務」とコメントした。

(ヴェンケ・リンダート)

(ドイツ)

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