3Dプリンターの高い利用率、新型コロナ危機の際に大きな利点に

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2021年04月20日

ドイツIT・通信・ニューメディア産業連合会(BITKOM)は4月12日、3Dプリンターの利用に関する調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。調査は2021年2月から3月に従業員100人以上のドイツ企業を対象として、電話インタビュー形式で実施し、生産部門の管理職や役員、経営者など551人が回答した。

調査では、「3Dプリンターの主要な利点は何か」という設問(2つまで選択可)に対し、回答者の43%が「生産の柔軟性向上」と回答した(添付資料表1参照)ほか、38%が「危機の際の重要部品の供給不足の解消」を挙げた。BITKOMは、新型コロナウイルス感染拡大やスエズ運河でのコンテナ船の座礁問題などがグローバルサプライチェーンに深刻な影響を与える中、こうした危機に対する有効な対策手段として3Dプリンターが位置付けられているとした。このほか、31%が「オーダーメード製品の生産」、21%が「コスト削減」、19%が「在庫削減」と回答した。一方、「メリットがない」と回答した企業はわずか5%だった。

回答者の44%が3Dプリンターを既に利用していると回答し、利用を予定している企業、検討している企業はそれぞれ20%で、利用を検討しない企業は14%と低い水準にとどまった。既に利用している企業は3Dプリンターの用途について、57%が「サンプルや金型の生産」、48%が「スペアパーツの生産」、33%が「ビジュアルモデル・模型の生産」と回答した(添付資料表2参照)。しかし、製品ラインの生産に活用していると回答した企業の割合はわずか2%で、オーダーメード製品の量産にはまだ活用されていない。なお、BITKOMのベルンハルト・ローレンダー会長は、ドイツの産業界は3Dプリンターの大きな可能性を認識しているとして、4月12日からオンラインで開催された総合産業見本市「ハノーバーメッセ」に合わせ、「付加製造技術が柔軟性や自立性を大幅に向上し、危機の際に優位性を発揮する」とするコメントを発表している。

(ベアナデット・マイヤー)

(ドイツ)

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