ムーティエで住民投票、ベルン州から分離しジュラ州への編入決定

(スイス)

ジュネーブ発

2021年04月07日

スイス・ベルン州の基礎自治体(市町村に相当)のムーティエで3月28日、ベルン州からの分離とジュラ州への編入の是非を問う住民投票PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が行われ、賛成が2,114票で反対の1,740票を上回った。可決には有効投票の過半数の賛成が必要だが、賛成票が約54.9%となり、ベルン州からの分離が決定した。

ジュラ州は1979年にベルン州から分離して創設されたスイスで最も新しい州だ。ベルン州はもともと、ドイツ語圏地域が大半だったことから、フランス語圏地域の一部がジュラ州として独立した。しかし、ベルン州には引き続きフランス語圏地域が一部存在し、これらの地域はジュラ州への帰属を求め、これまでも何度か住民投票が行われてきた。その1つのムーティエでも、直近では2017年に住民投票があり、このときは不正な住所登録をした住民がいたとして投票結果が無効となり、今回あらためて住民投票が行われた。今回の投票に当たり、連邦政府とジュラ州、ムーティエは分離に賛成、ベルン州は反対の立場を表明していた。

今回の投票結果では、半数近くが離脱に反対なこともわかった。近年、ベルン州内でのフランス語圏地域の地位低下が指摘されている中、同州のフランス語圏地域の1つが離脱することによる悪影響〔例えば、現在でもベルン州から連邦会議(上下院)への代表にはフランス語を第1言語とする議員が不在〕を指摘する報道もあり、スイスの言語圏の違いによる人々の分断はスイスが抱える問題の1つと言える。

ムーティエのジュラ州への移行時期は2026年の予定。ベルン州は今回の投票結果を受け、ムーティエが円滑にジュラ州に移行できるよう協力すると発表している。

(和田恭)

(スイス)

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